景気回復が遅れ、失業率の改善も進まない中、連邦政府が雇用促進策の一つとして、若者や高齢者を雇った企業に対する減税を検討していると29日付現地紙サイトが報じた。
若者や高齢者への雇用促進策は、社会保障制度改革案承認後の経済政策の一つで、具体的な法案は経済省が近日中に議会に提出する見込みだ。
政府が検討中の減税措置は、18~29歳の若者と、55歳以上の高齢者を雇用した企業には2年間、勤続期間保障基金(FGTS)や、全国産業職業訓練機関(Senai)をはじめとするSシステムに関連する負担金などを30%減額するというものだ。
経済省は若者や高齢者の雇用促進策などを含む憲法補足案(PEC)を複数用意しており、ボルソナロ大統領が現政権の300日間の総括を行う予定の4日に、一括して発表される予定だ。
南米諸国(チリ、アルゼンチン、ボリビア、エクアドル)が経済危機や政情不安を抱える中、パウロ・ゲデス経済相は、ブラジルが他の国々とは違う事を明示するためにも、新たな経済政策を打ち出していく必要があると考えている。
なお、上院が社会保障制度改革案を承認してから後は、米中の貿易戦争に和解の動きが出てきた事や、英国のEU(欧州連合)離脱延期などもあり、ブラジルではドル安レアル高傾向が続き、28日には2カ月半ぶりに1ドルが4レアルを割り込んだ。逆に、ブラジルの株式市場は高値を続けており、29日の株式指数は10万7556・26ポイントで終えた。