3日、大学入試なども兼ねた毎年恒例の学力試験「国家高等試験(ENEM)」の初日が行われた。ボルソナロ大統領になってから初めての同試験では、同性愛や軍事政権などの問題は出題されなかったが、人権や民主主義に関する出題は少なくなかったと、4日付現地紙が報じている。
昨年のENEMでは、同性愛者や服装倒錯者などに触れた問題が出題されたが、これに大統領選に当選したばかりのボルソナロ氏が怒り、「自分が大統領になったら、こういうことはやらせない」と宣言していた。
3日は「言語」「人文科学」「作文」の三つが行われたが、今年の出題では、ボルソナロ大統領のことを配慮してか、同性愛に関するものや「軍事政権」に関する問題が出なかった。同試験が軍政に関して一切触れなかったのは、2009年の試験以来、10年ぶりのこととなった。
だが、「人権」や「民主主義」に関する出題は少なくなかった。その例として、「女性への暴力」「人種差別」「奴隷制」「ネットにおけるヘイト(嫌悪)」などの問題が、「言語」「人文科学」の合計90の質問の中に含まれていた。
また、毎年、同試験で最も注目される「作文のテーマ」は、「ブラジルの映画における民主化」という、かなり意外なものだった。
これは、ボルソナロ大統領が国家映画庁(ANCINE)にかなり口出しを行っていると報じられている状況においてはきわどい出題だった。
これに関し、ブラジルの銃社会の未来を描き、話題ともなった映画「バクラウ」を監督したクレベル・メンドンサ・フィーリョ監督は、「ブラジル映画にとっては前向きなこと」と評価した。
今年のENEMに関し、アブラアン・ワイントラウビ教育相は「穏やかな問題となり、左翼でさえ抗議しないものとなった」と語っている。