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令和元年秋の叙勲15人に=日伯交流に尽力した功労者ら=二宮氏「生涯現役で努める」

 日本政府は令和元年秋の叙勲受章者を3日に発表した。ブラジル在住者からは邦人3人を含む15人が受勲した。その一人、二宮正人氏(70、長野県)は「日系社会にはもっと素晴らしい功績を上げた方々がいる。その方々を差し置いて受章するのは申し訳ない」と謙遜しつつ、「弁護士も大学教授も通訳も生涯現役で努めていく」と決意を新たにした。原田清氏(78、二世)は「受章はとても嬉しいが、一人では何もできなかった。日伯関係をより良くしようと一緒に頑張ってきた方々のおかげ。皆で頂いたものと思って受け取りたい」と喜びを語った。

 受勲者とその功績は次の通り(敬称略)。
 【在ブラジル日本国大使館管内】
 〈邦人叙勲〉
栗木千代子(71)=瑞宝双光章=元大使館現地職員。約40年間、会計、儀典、経済班の業務に真摯に取り組み、大使館の外交活動、日伯関係の発展に貢献した。
 〈外国人叙勲〉

オジビ・テイシェイラ・ジ・カルバリョ・フィリョ氏

オジビ・テイシェイラ・ジ・カルバリョ・フィリョ(71)=旭日双光章=元ブラジリア国費留学生同窓会会長。元国費留学生同窓会、JICA研修生同窓会を集め、活動の共有やネットワークの活性化などを議論する全国元国費留学生全国会合を創設した。

ジャジール・マツイ氏

ジャジール・マツイ(62)=旭日双光章=元ゴイアス日伯文化協会会長、現ゴイアス日伯文化協会審議会議長。同会の日本語学校経営に尽力。同会第1回盆踊り大会を開催した。地域日系子弟のサッカー教室の企画・指導なども行った。
 【在サンパウロ日本国総領事館管内】
 〈邦人叙勲〉

二宮正人氏

二宮正人(70)=瑞宝中綬章=現サンパウロ大学教授、現国外就労者情報援護センター(CIATE)理事長。同大学で日本に関する講義を行い、日本でも数々の大学で客員教授を務め、日伯相互理解の促進に寄与した。CIATEを創設し、訪日就労者や帰伯訪日就労者の支援にも尽力。日伯間の外交交渉や要人、皇族訪問の際のブラジル側通訳も務める。
 〈外国人叙勲〉

ルーベンス・リクぺロ氏

ルーベンス・リクぺロ(82)=旭日大綬章=元国連貿易開発会議 (UNCTAD)事務局長、現ジャパン・ハウス名誉館長。UNCTAD事務局長として、日本の目指す多角的自由貿易体制の構築を支援。閣僚経験者でブラジルの政治・経済・外交に精通しており、対日重視の姿勢を発信してきた。

ロベルト・ロドリゲス氏

ロベルト・ロドリゲス(77)=旭日重光章=元農牧食糧供給大臣。ブラジルで日本式の農業協同組合制度を普及・発展させ、日本の要人との交流を行うなど日伯農業関係の強化に貢献した。

ルイス・カルロス・トラブッコ・カッピ氏

ルイス・カルロス・トラブッコ・カッピ(68)=旭日中綬章=元ブラデスコ銀行取締役社長、現ブラデスコ銀行経営審議会会長。ブラジル日本都道府県人会日本祭りなど日系社会のイベントで最大のスポンサーを務めるなど、ブラジル日系社会を支援してきた。

原田清氏

原田清(78)=旭日中綬章=元ブラジル税法研究所教授、元ブラジル日本文化福祉協会評議員会会長。法学の分野で日伯間の学術交流の促進に寄与。文協では法律分野の知識と経験を活かし、定款の改正など、文協が抱えていた法的問題の解決に尽力した。『ブラジルの日系人(“O Nikkei do Brasil”)』の編纂・出版を行うなど、日系社会の次世代への文化継承にも貢献。

矢野ペドロ氏

矢野ペドロ(86)=旭日双光章=現ブラジル桜イペー連盟会長、元サンミゲル・パウリスタ日系文化体育協会会長、元ブラジル太鼓協会会長。サンパウロ市内カルモ公園の桜植樹を推進。サンミゲル・パウリスタ日系文化体育協会会長として、同地日本祭りを開催した。ブラジルの太鼓の普及にも貢献。
 【在リオ日本国総領事館管内】
 〈外国人叙勲〉

パウロ・バンデルレイ・テイシェイラ氏

パウロ・バンデルレイ・テイシェイラ(69)=旭日小綬章=元ブラジル柔道連盟会長、元国際柔道連盟副会長。各州の柔道連盟設備を整備し、柔道の広報に尽力。青少年の心身育成を目的に、貧困地区の子供に無償で柔道を指導する事業も行っている。
 【在クリチバ日本国総領事館管内】
 〈外国人叙勲〉

ラファエル・ヴァウドミーロ・グレッカ・デ・マセード氏

ラファエル・ヴァウドミーロ・グレッカ・デ・マセード(68)=旭日中綬章=元連邦下議、現クリチバ市長。クリチバ市長として日本広場の整備や姉妹都市交流の活発化に尽力。連邦下議時代には、伯日友好議員連盟メンバーとして日伯の関係強化、友好親善に貢献した。

エリジオ・ヨシカズ・シンザト氏

エリジオ・ヨシカズ・シンザト(70)=旭日双光章=元サンタカタリーナ日系協会連盟会長、元ニッポ・カタリネンセ協会会長。サンタカタリーナ州フロリアノポリス市初の日本文化週間・文化祭の開催を実現・定着させた、同州内の日系団体を束ねるサンタカタリーナ日系協会連盟を創設した。

フランシスコ・タキオ・タン氏

丹フランシスコ・タキオ(71)=旭日双光章=元パラナ日伯文化連合会会長、元ロンドリーナ文化体育協会会長、現パラナ野球ソフトボール連盟会長。パラナ州の日系団体を統括する同連合会の会長、役員を歴任。同州の野球、ソフトボールの普及、スポーツを通じた青少年育成にも貢献した。
 【在マナウス日本国総領事館管内】
 〈外国人叙勲〉

ヴァルジール・ヒサシ・サトウ氏

佐藤ヴァルジール・ヒサシ(67)=旭日双光章=現アマゾン高拓会会長。アマゾン高拓会の結成に参画し、書籍『アマゾナス州の高拓生物語』の出版を編集主幹として主導した。第2次世界大戦中の高拓生に対する不当な迫害に関する公式謝罪決議を実現。
【在ベレン領事事務所管内】
〈邦人叙勲〉

山本陽三氏

山本陽三(84)=旭日単光章=元北伯香川県人会会長、現パラー日系商工会議所副会頭。北伯県人会協会の初代会長を務め、基礎を確立した。汎アマゾニア日伯協会にでは、日本語講座運営や教育事業、文化事業を推進し、財政再建にも貢献した。


□関連コラム□大耳小耳

 令和元年秋の叙勲で受章が決まった原田清氏は、過去の功績に加え、ブラジルの法に関する議論、改革を推進する法律家のグループ「ブラジル行政・財政・租税法研究所」を9月に創設したばかり。つまりいま現在も、精力的に活動を行っている。叙勲は過去の功績を認めるものだが、受勲者には今後ますます、日伯の懸け橋として両国の交流を牽引していってほしいもの。