幽霊候補(ラランジャ)を介した、18年選挙での政党支援金不正受給疑惑で揺れる社会自由党(PSL)だが、この不正がボルソナロ大統領と決して無関係ではないとの疑惑が報じられはじめている。3日付現地紙などが報じている。
現在、ボルソナロ大統領はPSLの不正を糾弾し、自身を支持する党員たちと離党することもほのめかし、党首のルシアノ・ビヴァール氏と激しく対立しているが、同党が行ったとされる不正がボルソナロ氏の選挙の手助けにもなっていたと3日付フォーリャ紙が報じている。
同紙によると、ビヴァール党首の膝元のペルナンブッコ州では、同氏と個人的につながりのある3人の女性が選挙活動も行わず、3人あわせても3300票しか獲得できなかったのに、合計7815万レアルの政党支援金を受けていた。
彼女たちは連邦警察での事情聴取で、「これらの政党支援金は印刷所への費用にあてられ、そこで印刷した、大量のボルソナロ氏やPSL関係のキャンペーン資料を全国にまいていた」と供述している。
その中のひとり、ルルデス・パイション氏は「これは党の戦略で、これによってボルソナロ氏も恩恵を受けていた」と話している。
フォーリャ紙は今年2月にPSLがペルナンブッコで使っていた印刷所を取材したが、その際には事業活動の形跡がなかったという。
さらに5日付フォーリャ紙が明らかにしたところによると、昨年の大統領選でボルソナロ氏の選挙参謀をつとめていたグスタヴォ・ベビアーノ氏が、連邦警察に対して行った供述の中で、「昨年、ボルソナロ氏がPSLに入党する際の打ち合わせで、政党支援金の30%をビヴァール氏のペルナンブッコ支部に回すことが決められていた」といい、ボルソナロ氏本人がその打ち合わせを仕切っていたという。
一方、3日付エスタード紙によると、PSLの下院議員の内20人が、実態のない企業や実際には行われていないサービスに対する領収書を作成し、今年の5月~10月に、合計で73万レアルの支払を受けていた疑惑があったことが報じられている。
これらの企業は印刷所や洗車場などで、住所が確認できなかったり、業務を行っていなかったりしたという。
ボルソナロ氏は3日、「PSLからは80%離党しており、90%新党を作る気でいる」と語っている。