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《ブラジル》極貧者が450万人増加=社会格差拡大傾向も続く

労働市場の人種格差は依然として大きい(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

 ブラジル地理統計院(IBGE)が6日、2年にわたる景気後退期が去り、経済は回復基調にあるが、社会格差は依然として拡大傾向にあり、極貧者は4年間で450万人増えたと発表したと6日付現地紙サイトが報じた。
 ブラジルの国内総生産(GDP)は2015年に3・5%、16年も3・3%減った後、17、18年に1・1%ずつの回復を見た。
 だが、経済活動や失業率の回復の遅れは格差拡大ももたらし、人口の10%までの、より高い所得者の昨年の所得総額は前年比4・1%増え、人口の40%までの、より低い所得者の所得総額は0・8%減った。
 これにより、人口の10%の高所得者は、人口の40%の低所得者の13倍の所得を得た事となり、12倍だった15年より格差が拡大した。この事は、15年は0・524だったジニ係数が18年は0・545に上がった事でも窺われる。ジニ係数は所得分配の不平等さを表し、ゼロに近い程、不平等が減る。
 特に気になるのは、日収1・9ドル(月約145レアル)以下の極貧者が1350万人となり、2014年より450万人も増えた事だ。1350万人という数字は総人口の6・5%に相当し、ポルトガルやベルギーの総人口を上回る。また、過去最低だった14年の4・5%を2%ポイントも上回っている。
 他方、月収420レアル以下の貧困者(極貧者も含む)は5250万人(総人口の25・3%)で、26・5%だった前年比110万人減った。貧困者の比率が最も小さかったのは14年の22・8%だ。
 貧困者が州人口に占める割合が最も大きかったのは、マラニョン州の53%で、最も小さかったのは、サンタカタリーナ州の8%だった。
 貧困者減少(所得増)の主要条件は雇用確保だが、ここでも社会格差は大きく、労働時間が週40時間未満でもっと働きたい人の66%は黒人や褐色の人が占める。性別で見ると、このような条件の人の54・6%は女性(40時間以上働いている人では43・7%)が占めている。14~29歳の若者は、40時間以上働いているが25・7%、40時間未満が34・5%だった。
 また、白人労働者の平均月収は、黒人・褐色より73・9%高いなど、18年も様々な形の格差が確認されている。