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《サンパウロ市》同市内で平均寿命に23歳の差=最新の格差マップが示す現実

20歳で夢を絶たれたアウヴェスさん(5日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ市の実情を表す2019年度の格差マップが発表され、中央部にある目抜き通りのパウリスタ大通り近辺と、そこから東に34キロ離れたシダーデ・チラデンテス区とでは、平均寿命が23歳も違う事などが明らかにされた。
 同市は96区に分かれている。極東部のシダーデ・チラデンテスは、貧しくて、治安もあまり良くない地区にある。
 同区住民の平均寿命は57・31歳で、南部の高級住宅地モエマ区住民の平均寿命の80・57歳より23年も短い。サンパウロ市全域の平均寿命は68・7歳だ。
 平均寿命は青少年や乳幼児の死者数が多い地区が短く、少ない地区が長くなる傾向がある。
 シダーデ・チラデンテスに次いで平均寿命が短いのは、マルシラックの57・5歳、グラジャウの58・6歳、サンラファエルの58・7歳、アニャンゲーラの58・8歳だ。他方、モエマに次いで平均寿命が長いのは、ジャルジン・パウリスタ79・85歳、コンソラソン79・43歳、アウト・デ・ピニェイロス79・09歳、イタイン・ビビ78・67歳となっている。
 サンパウロ総合大学のマルセロ・ネリイ教授によると、これらの数字には人口密度やインフラ整備の度合い、家族構成、暴力事件の発生率などが影響するという。
 3年前、自動車泥棒の1人と思われ、警官に射殺されたアブネル・アウヴェスさんは、しだーで・チラデンテスで死亡した若者の一例だ。アウヴェスさんは自宅近くの肉屋で働いており、20歳の時、法学部に入りたくて、叔母と相談しようとして出かけた際、事件に巻き込まれた。
 また、乳幼児期の死亡率の高さも平均寿命を大きく左右する。シダーデ・チラデンテスでは18年、1歳未満で死亡した子供が54人いた。各地域で生まれた新生児1千人の内、1歳未満で亡くなった子供の数(乳児死亡率)は、マルシラック24・59人、レプブリカ24・29人、パルケ・ド・カルモ19・52人、ジョゼ・ボニファシオ18・83人で、シダーデ・チラデンテスは7位だった。
 また、同性愛者や性転換者への暴力行為が最も多かったのは中央部レプブリカの18件。以下、東部のペーニャ11件、南部のシダーデ・アデマル10件と続く。
 女性への暴行や襲撃事件は8万2233件起きており、17年の5万4386件比51%も増えた。事件最多は市中央部のセー区だった。
 セーは人種差別に基づく暴力事件も多発しており、人口10万人あたりの発生率は13件。以下、西部バラ・フンダ7・62件、中央部ジャルジン・パウリスタ6・96件と続く。ただし、黒人や褐色の人の人口比率が高い区は、ジャルジン・アンジェラの60・11%やグラジャウの56・81%、パレリェイロスの56・61%(いずれも南部)で、セーは38・35%。最も低いモエマは6%だった。(5、7日付G1サイトなどより)