8日夕方、ルーラ大統領が580日ぶりに、パラナ州連邦警察の特別収監室から釈放された。7日の最高裁での審理結果を受けてのものだった。ルーラ氏は9日には自宅のあるサンパウロ大都市圏サンベルナルド・ド・カンポ市に戻り、自身の拠点だった金属労組の組合本部で支持者たちと共に帰還を祝った。この両日のブラジルの話題はルーラ氏一色となったが、上院や下院では、刑法改正案の審議を進める見込みだ。9~11日付現地紙が報じている。
7日に最高裁が「2審判決有罪の時点で刑執行か否か」の審理で否決との結果を出した時から、ルーラ氏の釈放は国民の注目の的だった。弁護人のクリスチアーノ・ザニン・マルチンス氏からの釈放請求は8日朝、パラナ州連邦地裁に提出されており、午後4時過ぎに同地裁が承認したことで、釈放が決まった。
ルーラ氏の支持者はこれで喜びを爆発させた。同氏の釈放嘆願運動の名称となっていた「ルーラ・リーヴリ」のハッシュタグは、同日午後4時30分には、世界一話題にされるハシュタグになっていた。
パラナ州連邦警察前には労働者党(PT)関係者が待ち構え、午後5時40分過ぎに姿を現したルーラ氏を出迎えた。
ルーラ氏はそこで釈放第一声となるスピーチを16分間行った。そこでは、自身を支えてくれた人たちに感謝する一方、ボルソナロ大統領や、自身の逮捕の原因となったラヴァ・ジャット作戦のデウタン・ダラグノル主任らを批判した。ルーラ氏は同日、やはり最高裁の判断によって釈放されたジョゼ・ジルセウ元官房長官とも再会した。
9日には、支持者たちがひしめきあうサンベルナルド・ド・カンポの金属労組組合本部で復帰祝いが行われ、ルーラ氏が人波の中を泳ぐ光景も見られた。ルーラ氏はここでもグローボ局や、自身を裁いた、元パラナ州連邦地裁判事のセルジオ・モロ現法相を批判した。
この釈放はかねてから世を二分するものだったために反発も大きいと予想されたが、「ルーラ・リーヴリ」の勢いの強さが目立った。9日に行われた最高裁への抗議デモは、全国的な開催でこそあったものの、通りを埋め尽くすほどの人出を見た場所は少なかった。
ルーラ氏からの批判に対するボルソナロ大統領やモロ法相による声明発表も遅れ、9日になってやっと出た。ボルソナロ氏はルーラ氏を「カナーリャ」と呼び、モロ氏は「犯罪者には反応しない」と切り捨てた。
上院や下院の憲政委員会(CCJ)では、ラヴァ・ジャット作戦支持派の議員たちが「2審有罪で刑執行とする」との憲法補足法案(PEC)の審議を加速すべく、動きはじめた。各院のCCJは8日、週明けに関連PECの審議、承認を図ることを決めている。