【既報関連】ボリビアでは、エヴォ・モラレス前ボリビア大統領が辞任を表明した翌11日も混乱が続いた。
同国警察機構は行政・立法府のある事実上の首都ラ・パスの治安を制御できないと表明し、軍に援助を求めた。ラ・パスやラ・パス都市圏のエル・アルトでは、暴徒化した市民が石や棒、ダイナマイトなどで武装し、暴れまわった。暴動は商店略奪や、家屋やガソリンスタンド、警察署への放火に発展した。
10日の夜、ラ・パスから380キロ離れたコチャバンバに逃亡し、支持者の元に身を隠していたモラレス氏は、メキシコ政府の「亡命を希望するなら受け入れる」との申し出を受け入れ、11日夜、ボリビアを脱出したと、11、12日付ブラジル各紙・サイトが報じている。
憲法に定められた大統領職の後継資格保有者が全て辞任してしまったため、上院議会第二副議長のジェアニネ・アニェス氏が臨時のリーダー職を務め、早々に総選挙が行われる見通しだ。
モラレス氏は「私はメキシコに向けて出発します。私たちの命を守るため、亡命という選択肢を与えてくれた、親愛なるメキシコ政府に感謝します。政治的な理由で国を離れることは辛いです。でも、私は常にボリビアのことを心にとめています。より力強く、エネルギーに満ちた状態で戻ってきます」と11日午後10時29分(ブラジリア時間)にツイートした。同氏が乗った飛行機はパラグアイに一度たちより、12日午後、メキシコに到着した。
ボリビア国内の暴動は、親モラレス派、反モラレス派両者が起こしている。コチャバンバのモラレス氏の私邸は反モラレス派によって破壊されたし、10月の選挙でモラレス氏と戦ったカルロス・メサ元ボリビア大統領も、サンタクルスの私邸が攻撃されたと語っている。
モラレス氏は、止まらぬ反政府デモの中、軍に離反されて辞任、さらに事実上の国外逃亡という結末に至った。だが、貧困層からの支持は完全には失っておらず、暴徒たちは、反モラレス派のリーダー、カルロス・メサ氏やルイス・フェルナンド・カマーチョ氏らを非難し、「メサ、カマーチョ、狙うはお前たちの首だ!」と叫んでいる。
10月23日に始まった、ブラジル中西部、マット・グロッソ・ド・スール州のコルンバと、ボリビアのアロヨ・コンセプシオン、プエルト・キハーロ、プエルト・スアレスを分ける国境線封鎖は現在も継続している。この地点の通行は、歩行者と救急車などの緊急車両、食料、水の運搬車両に限定されている。ボリビア側の国境閉鎖の責任者は、「ボリビアの新議会がモラレス辞任を正式承認し、大統領代行が決まり、総選挙の実施を公式のものとするまでは閉鎖」と語っている。国境封鎖はロンドニア州でも起きている。
なお、12日には米州機構の臨時会合が開かれ、ボリビア情勢への対応策が話し合われた。