ボルソナロ大統領は11日、自動車やその積荷による事故で被害に遭った人への損害賠償責任義務保険(DPVAT)を2020年1月1日より廃止するとの暫定令(MP)に署名した。12日付現地紙が報じている。
保険支払いの対象は2019年12月31日までに生じた事故の被害者だが、支払いそのものは2025年12月31日まで続けられる。
連邦政府によると、DPVAT廃止の主な目的は、同保険の不正受給が増えていることへの対策のためだという。
また、DPVATがなくても、統一医療保険システム(SUS)を利用すれば無料で治療が受けられるし、事故に伴う障害や疾病によって働けなくなった場合も、国立社会保険院(INSS)に入っていれば、障害や疾病を理由に早期の年金受給を受けることができるから、DPVATがなくても充分にカバーされるはずだという。
今回のMPでは、2016年から実質上機能しなくなっていた、船やその積荷による事故で被害に遭った人への損害賠償義務保険(DPEM)も廃止の対象となる。
政府側は、DPVATを廃止することにより、2025年までの政府支出を47億レアル抑えられると見込んでいる。
MP発表後の国民の反応は賛否両論あったが、DPVATのプログラムに、現在ボルソナロ大統領と強い確執関係にある社会自由党(PSL)党首のルシアノ・ビヴァール氏の企業が絡んでいると12日に報じられはじめたことで、「大統領のビヴァール氏への報復行為か」との疑惑も生じている。
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