【既報関連】ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(民主党・DEM)とロドリゴ・マイア下院議長(DEM)は12日、社会保障改革ための改正憲法公布(promulgação)を行った。13日付現地各紙が報じた。
ボルソナロ政権の最重要課題と位置付けられた憲法改正は、2月に議会に提出されてからおよそ8カ月後に議会承認を終え、ほぼ9カ月後の公布となった。改正憲法の大部分は連邦政府官報に記載された13日から発効となった。
憲法改正は、歳出を削減させるための年金受給開始最低年齢の設定が中心となっている。それらは13日から発効となるが、歳入を増やすために導入された、純利に対する社会納付金(CELL)税率引き上げや、高額所得者への社会保障費負担率引き上げなどは来年3月からの発効だ。
改正憲法交付後に就職し、公的年金を含む社会保険金(INSS)を納め始める人は、一部の職種を除いて、男性は65歳、女性は62歳になるまで年金を受け取ることはできない。また、INSSを払わねばならない最低限の年数も決められており、男性は20年、女性は15年だ。
しかし、女性の場合、15年しか払っていないのに、62歳になったからといって受給を申請しても、満額の60%しかもらえない。満額需給のためには35年間支払うことが必要だ。男性も、20年だけ払った人が受け取れる年金は満額の60%。満額需給には40年間の支払いが必要だ。
農村労働者の受給開始年齢は、男性60歳、女性55歳で、教師は男性60歳、女性57歳、連邦警察官は男女共に55歳だ。
既存の制度で年金を負担していた労働者は、民間は5種、国家公務員は2種の制度移行措置が取られ、最も利益が大きい仕組みを選択できる。
今回の憲法改正により、遺族年金支給額も、基本的に、これまでの60%に減額(被扶養者が1人増えるごとに10%増)された。
2月に提出された時の歳出削減規模は10年間で1兆2千億レアルだったが、議会審議の過程で8千億レに削減された。
ボルソナロ大統領とゲデス経済相は公布式典に出席しなかったが、アルコルンブレ議長は、「改正憲法公布の際は、大統領も閣僚も出席していない」と語り、「議会と政府の不和?」などと報じかねないマスコミをけん制した。
連邦政府は当初、民間企業の労働者、国家公務員、地方公務員の年金制度全てを変更しようとしていたが、議会や州知事たちとの折衝に手間取って、地方公務員の年金制度は別の憲法補足案(並行PEC)で変更することにした。
この並行PECは上院が作成したもので、既に1回目の承認を終えている。並行PECも、上下両院の双方で、定数の60%以上の賛成による承認が2回ずつ必要だ。