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BRICS会議=73項目の首脳宣言採択=南米言及せず、保護主義懸念

14日の会議で議長を務めるボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

 【既報関連】ブラジリアで行われた、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国(BRICS)首脳会議は14日、73項目にわたる首脳宣言採択をもって閉幕したと14、15日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
 世界経済が減速する中で採択された首脳宣言には、保護主義の拡大や貿易戦争の激化、政治的な不確実性などを不安視する姿勢を反映し、解放された市場、透明性などの言葉が繰り返された。
 今会議の議長国はブラジルで、13日の個別会談や企業家フォーラムなどを踏まえて全体会議に臨んだボルソナロ大統領は14日の会議前、「ブラジルは貿易戦争には加わらず、世界中と取引する」と述べ、BRICSの結束を優先する意向を表明。首脳宣言も、保護主義や単独主義への懸念を表明した中国の習近平国家主席や、貿易コストの低減を訴えたインドのモディ首相らの発言に呼応する形となった。
 BRICS優先の姿勢は環境問題に触れた項目にも表れ、パリ協定遵守など、米国とは異なる立場が盛り込まれた。パリ協定などへの言及が、ボルソナロ政権の方向性の変化を表している可能性も期待されそうだ。
 ブラジルでは岩塩層下の油田の開発権を巡る入札が続いた直後だが、首脳宣言では、化石燃料に頼るあり方への反省を促し、クリーンエネルギーの使用促進が強調された。また、先進国が開発途上国に対して行う、温室効果ガス排出量削減に向けた融資などの活性化を呼びかける部分もあった。
 世界平和に関連した部分では、化学兵器や生物兵器の使用、製造に反対する姿勢を明記。安全保障理事会を含む、国連組織変革にも言及した。
 他方、大項目の一つは地域性で、シリアやイエメンなどへの言及があったのに、BRICS内で意見が分かれる南米諸国(ベネズエラやチリ、ボリビア)に関しては一言も言及されなかった。
 また、首脳会議とは別に開かれ、100回を超える閣僚レベルの会合の内容を反映し、科学や保健衛生など、各会合での合意内容を再確認する文言も随所に見られた。
 首脳宣言の最後は、2020年の第12回会議の議長国であるロシアへの協力を惜しまない事を謳って、終えている。