【既報関連】ブラジル国立宇宙研究所(Inpe)が18日に発表した、衛星写真を用いた法定アマゾン伐採監視プロジェクト(Prodes)のデータによると、18年8月1日~19年7月31日の1年間の法定アマゾンの森林伐採面積は9762平方キロで、17年8月1日~18年7月31日の7536平方キロより29・5%増えたと、19日付現地各紙が報じた。
これまではInpe発表のデータに幾度も疑問を投げかけてきたリカルド・サレス環境相は、今回のデータを否定こそしなかったが、森林伐採面積は2012年から増大傾向にあるとし、森林伐採増大は現政権の責任との見方を否定した。
9762平方キロはサンパウロ市の面積の6・4倍に相当する。この数値は11年ぶりの高い水準となった。法定アマゾンの森林伐採は1988年から監視されており、前年比29・5%という対前年比増大率も、1995年、1998年に次ぐ高い数値だった。Inep本部での発表会見には、サレス環境相の他、マルコス・ポンテス科学技術相も出席した。
Inep所長代行のダルトン・ダミアン氏とサレス環境相は、森林伐採面積の増大傾向は2012年から続いており、12年以降の伐採面積の対前年比増大率は年平均で11・4%だったと発表した。
州別でみると、パラー州が全体の39・5%で最も伐採面積が広く、マット・グロッソ州が17・2%で続いた。この2州にアマゾナス州とロンドニア州を加えると、伐採面積全体の84%を占める。アマゾナス州は1990年代に記録していた水準付近まで戻り、ロライマ州は前年と比べて2倍以上の伐採面積を記録するなど、不安は高まった。
科学者や環境保護運動家たちは、ボルソナロ大統領が昨年の選挙時から繰り返してきた、「罰金産業を終わらせる」発言や、国立再生可能天然資源環境院(IBAMA)の活動を制限し、インジオ(先住民)保護区の開発を後押しするような行動が、今年の大幅な森林伐採面積増大に関係していると見ている。
ミナス州連邦大学(UFMG)の調査員によると、今年1~9月の法定アマゾン内での環境犯罪摘発件数は前年比で40%減少したという。
サレス環境相は、現在は、1991~94年、1997~2005年に続く3回目の森林伐採増加期にあるとし、「近年は7年にわたって森林破壊が増えている。これは新政権以前からの普遍的な問題で、環境保護の仕組みを構造的に改善しなくてはならない」と語った。
同環境相はさらに、連邦政府と各州政府は、森林伐採の拡大を防ぐために新たな戦略を練る必要があるとし、そのための会合を20日にブラジリアで行うと発表した。