【既報関連】8月30日に始まった東北部海岸への原油漂着は、流出源の解明も出来ないまま、汚染箇所が720に達したと18~22日付現地紙・サイトが報じた。
国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)によると、21日現在の原油漂着箇所は、北東部9州とエスピリトサント(ES)州の117市(北東部112市、ES州5市)、計720カ所。また、20日までに届いた海洋生物の被害報告は、ウミガメ96頭を含む141件で、内100件は死亡例だ。19日現在の原油漂着箇所は675カ所だったから、現在も1日20カ所余りのペースで新たな漂着箇所が増えている。
18日にはピアウイ州パルナイバの三角州にも原油が漂着。生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)は、同地区の海洋に漂着した原油は累計1トンに及ぶとの推測を発表した。また、海軍は17日、同州のイーリャ・グランデ、バルナイバ、ルイス・コレイア、カジュエイロ・ダ・プライアの諸海岸で回収した原油塊(原油に付着した砂なども含む)は累計3トン超と報告した。19日にはIbamaが、8月30日以降に北東部で回収した原油塊(前述に同じ)は4500トンと報告した。
他方、原油の流出源に関しては、21日に開かれた下院議会調査委員会(CPI)で、トランスポンダ(電気信号の中継送信や受信信号への応答を行う機器)を切った状態で7月にブラジル沖を航行したマーシャル諸島船籍のVoyager1号の名前が、疑惑船として報告された。この報告はアラゴアス連邦大学衛星画像解析処理研究所(Lapis)によるもので、7月19~24日に見つかった原油と思しき画像と、同時期に当該海域を航行した船を照合して絞り込んだという。
海軍は先に、不審船としてギリシャ船籍の船5隻のリストを出していたが、この船はリストには含まれていない。海軍はLapisが指摘した画像は海草と見ている。
なお、同CPIでは、セルジッペ州の環境管理責任者が、海洋生物へのインパクトや健康被害に関する情報が流れて来ない事や、10月発表の環境省の予算凍結で、2013年に定められた緊急時の対応措置がとられていない事などに苦言を呈し、連邦政府に透明性を求める場面も見られた。