《ブラジル》ゲデス経済相=南米の民衆デモを批判=AI5擁護する発言も=大統領三男に引き続き=ドルは一気にワースト更新

パウロ・ゲデス経済相は25日、「国民のデモの激化に対して、軍政令第5条(AI5)のような政策を政府が行っても何の不思議もない」と発言。これを受けてドル高が一気に加速した。26日付現地紙が報じている。
この発言は25日、米国ワシントンで行われたフォーラムでのものだった。米国とブラジルの高官らが集まった席での共同インタビューで、ゲデス氏は「もし仮に南米の他の国で現在起こっているような民衆デモが起こったらどうするか」との質問を受けた。
これに対してゲデス氏は、「民主主義というのは一方が勝ったときだけ存在するのか。こちらが政権をとって10カ月でも、気に入らなければ通りに出ろと呼びかけて荒れる。それでは、誰かがAI5を求めたとしても不思議ではない。一度起こったことじゃないか。何が違うんだ。国民をたきつけて、町をメチャクチャにするなんて。おろかだ。そんなものは私たちの民主主義の伝統の次元には及ばない」と発言した。
軍政時代の1968年から78年に施行されたAI5は、多数の政治犯の死や行方不明者を生む要因となった法で、軍政時代の中で最も問題視されてきたものだ。
AI5の施行擁護は、10月31日に大統領三男のエドゥアルド氏が、「チリでの民衆デモのようなことが起きればAI5も辞さない」と発言した例があるが、同氏はこれで下議罷免を求める動きを起こされた。また、それを擁護したアウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官も、下院での喚問を受けている。
エドゥアルド氏の発言の際、ネット上の反応は96%否定的なものだったと報道されている。
エクアドル、チリ、コロンビアと続く民衆デモの流れにはボルソナロ大統領も危機感を覚えており、20日には、下院に対し、デモ隊に対して行き過ぎた暴力行為を働いた軍人や警察官に対する刑罰を免除する法案を提出、反発を招いていた。
今回のAI5擁護発言が、軍人経験のない経済畑一筋のゲデス氏の口から出たことは驚きをもって迎えられたが、同氏はチリのピノチェト独裁政権の下で行われた新自由主義経済の熱心な支持者でもある。現在も続くチリのデモは、ピノチェト時代の憲法の改編が争点の一つにもなっている。
ゲデス氏はその後、「あの発言はオフ」とし、「AI5は認められない」と発言し直した。だが、同氏の発言はブラジルのみならず、国際的に強い反発を招き、25日の為替は1ドル=4・22レアルに達し、レアル・プラン後のワースト記録を更新。26日午前中は1ドル=4・25レに達した。ゲデス氏はドル高に関しても、経済政策の変化ゆえで問題はないとの見解を表明している。