今季、ブラジル王者、南米王者をフラメンゴに奪われたことで、昨年の国内王者パルメイラスが、来年の王座奪回に向けて、ファンから戦略変更を求められている。
パルメイラスはここ数年、金融企業の「クレフィーザ」がスポンサーについたことで得た豊富な資金力を活かし、実績のある選手との高額契約に成功。2016年、18年には全国選手権でも優勝。今年は2年連続の国内王者のみならず、南米一も狙っていた。
だが、今季は、前半戦こそ首位を走っていた全国選手権で途中から失速。4節を残した時点でフラメンゴに優勝され、現在、勝ち点差13をつけられての2位。リベルタドーレス杯では準々決勝で敗退してしまった。
この状況に、パルメイラスファンからは、「移籍ではなく、下部組織の選手で優勝を狙え」との声が相次いでいる。
それは、ここ数年のパルメイラスは下部組織でも成績がよかったのにも関わらず、そこで育った選手たちが一軍で活躍する場が与えられず、場合によっては移籍をも余儀なくされるケースが相次いでいるためだ。
パルメイラスのファンたちは、バイアにレンタル移籍させたアルトゥール(21)がシーズンを通じてフォワードのレギュラーとして活躍したこと、下部組織の目玉選手のガブリエル・ベロン(17)がU17W杯でフォワードの不動のレギュラーとなり、優勝に貢献したことなどを見ている。だから、「高額で移籍してきて活躍しない選手を使うくらいなら、彼らにチャンスを与えろ」との声が高まっているのだ。
こうした声を受け、パルメイラスの戦略ディレクター、アレッシャンドレ・マトス氏は、「2020年のパルメイラスでは、下部育ちの選手8人が戦力になることになる」と宣言している。
マトス氏がいう8人は、アルトゥールやベロンをはじめ、キーパーのヴィニシウス・シウヴェストリ、センターバックのペドロン、サイドバックのエステヴェス、ボランチのガブリエル・メニーノとパトリキ・デ・パウラ、フォワードのイヴァン・アングーロだ。
今年のフラメンゴは戦力補強で優勝したともいえるが、その一方、昨年はヴィニシウス・ジュニオル(レアル・マドリッド)とルーカス・パケタ(ACミラン)の2人の若手をセレソン級の選手に育て、今季も期待の17歳レイニエールが控えで活躍するなど、育成でも実績をあげていた。
一方、パルメイラスの若手で実績をあげていたのは、2016年の優勝時に19歳のレギュラーで、現在セレソンのセンター・フォワードのガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)のみで、以降、誰も活躍していなかった。
28日に行われた17歳以下のチームによる「スーパーカップ(Supercopa)」の決勝第1戦では、U17ブラジル杯の覇者のパルメイラスとU17全国選手権覇者のフラメンゴが戦い、パルメイラスが2―0で勝利している。(26日付アゴラ紙、28日付グルーボエスポルテ・サイトより)