ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》第4地域裁がルーラの刑期を延長=最高裁の判断を独自解釈=「疑惑」も否定した報告官=「政治的判断」と弁護側

《ブラジル》第4地域裁がルーラの刑期を延長=最高裁の判断を独自解釈=「疑惑」も否定した報告官=「政治的判断」と弁護側

27日のTRF4での裁判の様子(TRF-4)

 リオ・グランデ・ド・スル州の第4連邦地域裁(TRF4)は27日、サンパウロ州アチバイアの別荘を介したルーラ元大統領の収賄と資金洗浄の裁判で、最高裁が10月に出した「裁判無効」の判断を独自に解釈した上、刑期を1審より5年長い17年1カ月10日に引き延ばす判決を下した。28日付現地紙が報じている。

 今回の裁判は、最高裁が10月に出した、「報奨付供述者の供述に基づく容疑での裁判で、供述者より後に被供述者の自己弁護を行わせなかった裁判は無効」とする判断をTRF4がのむかが注目されていた。ラヴァ・ジャット作戦には同様の理由で無効とされうる裁判が多く、19年2月に行われた同裁判1審もそれに該当するためだ。
 また、1審を担当したパラナ州連邦地裁のガブリエラ・ハルト判事がその判決文で、17年7月に当時のセルジオ・モロ判事(現法相)が、サンパウロ州グアルジャーの三層高級住宅を巡る裁判でルーラ氏を有罪としたときの判決文を一部、記述の誤りも含めて流用していた疑惑も問題になっていた。
 さらに、6月以降のヴァザ・ジャット報道では、ハルト氏の前任者のモロ氏にルーラ氏の裁判担当者として偏向があったと報じられていた。
 だが、報告官のジェブラン・ネット判事は、「モロ氏に偏向などない」「ハルト判事は判決文の切り貼りなどしていない」と主張。また、最高裁の判断についても、「被告は(供述者の後ではないが)結審当日に供述者と同等の条件で自己弁護を行っており、明らかな損失を被ったとは言えないから、裁判を無効とする必要はない」との見解を示した。
 ジェブラン判事は「別荘の持ち主が誰であるかは関係ない。ルーラ氏が使用していたことは一般に知られたこと」と主張し、OAS社やオデブレヒト社がルーラ政権でペトロブラス社の事業契約で恩恵を受けており、別荘の改修費120万レアルを牧畜企業家でルーラ氏の友人のカルロス・ブンライ氏とOAS社、オデブレヒト社が支払ったことは収賄や資金洗浄にあたるとした。
 検察は同裁判でルーラ氏の刑を増すよう要請しており、ジェブラン判事が1審の12年11カ月を上回る17年1カ月10日の判決を求めると、他の2判事も同意。満場一致で刑を増した。
 最高裁が今月7日に、「2審有罪では刑執行にはならない」との判断を下したため、TRF4の判決ではルーラ氏の刑執行はない。
 ルーラ氏担当のクリスチアーノ・ザニン弁護士は裁判後、「最高裁を挑発する」「またしても政治的な判断が行われた」と不満を表明している。
 ジェブラン判事はモロ法相とはパラナ州連邦大学法学部時代からの友人で、ヴァザ・ジャット報道でも、LJ作戦主任のデウタン・ダラグノル捜査官と、LJ裁判の被告を有罪にするための念押しの接触を事前に行った疑惑が報じられている。