【既報関連】ブラジル経済省傘下の国家通貨審議会(CMN)が27日、銀行が発行する特別小切手の利息(月利)を最大8%とすることを決めたと、28日付現地各紙が報じた。
CMNは、パウロ・ゲデス経済相、ロドリゴ・カンポス・ネット中銀総裁、ワルデリー・ロドリゲス財務特別局長の3人で構成される。この措置は年明けの1月6日から有効となる。
特別小切手は主に低所得層が多く使用している。低所得層が高利の借金に手を出し、不渡りを出すという悪循環を止めることが目的と中銀は発表した。
10月現在の特別小切手の平均年利は305・9%で、月利換算では12・4%だった。これが月利8%までに制限されると、年利もほぼ半分の150%に下がる。
ブラジル銀行協会連盟(Febraban)はCMNの決定した措置の影響を分析するとしている。
同連盟のエコノミストだったロベルト・トロステル氏は、「CMNの決定は政府の掲げる自由主義経済の原則に反してはいない」と語る。一方、ブラジル経済研究所(Ibre)のエコノミスト、サムエル・ペッソア氏は、「政府が銀行に口出しするのは自由主義経済とはいえない。年利150%も、決して低くなく、まだ高いくらいだ」とした。
連邦貯蓄銀行(CAIXA)は12日、来月から、特別小切手の利率を最低月利8・99%から4・99%に半減させると発表した。市場関係者はこの措置を、「政府が国営銀行を使って、民間銀行の金利を引き下げさせようとしている」と見ていた。
Febrabanの指導により、各銀行は18年7月以降、特別小切手による借金が200レアルを超えたら、より低金利のタイプの借金に変更するよう、顧客に勧めてきた。これによって特別小切手の利率は下がると期待されたが、特別小切手の利率はむしろ上昇した。
経済の専門家からは、「経済基本金利(Selic)が年利5%であることを思えば、特別小切手の利率はまだ高すぎ」との声が出ている。
CMNは同時に、来年6月以降、特別小切手での借金が限度額の500レアルを超過している債務者から、超過分に月々0・25%をかけた手数料を徴収することも認めた。現在の利用者8千万人中、1900万人が上限額を超えており、手数料の徴収対象者だ。手数料の徴収は来年6月から始まる見込みだ。
ロベルト・カンポス・ネト中銀総裁は、「今回の措置は金利規制ではないか」と批判を受けた。それに対して、「500レアル超過分に手数料をかけられることも認めた。月利上限を8%にしているだけで、低い金利にすることも自由。他行より利率を低くして消費者に多く使ってもらい、500レアルを超えた分からは手数料をとることもできるなら、『金利規制』にはあたらない」と反論した。