11月20日から最高裁で行われていた、「検察などが裁判所の許可もなく、銀行や税務所のデータを捜査に共有しても良いか」の審理が結審となり、9対2の大差で「共有してよい」ことになった。これで、大統領長男のフラヴィオ上議や同氏の元職員らに対する旧・金融活動管理審議会(COAF、現・中銀財務情報部、UIF)のデータを使った捜査再開への圧力も高まった。29日付現地紙が報じている。
今回の審理は、7月にジアス・トフォリ長官が「COAF(当時)や税務所のデータを使った捜査は法的な許可が必要」との見解を出し、裁判所の許可を得ずにデータを使用した捜査の差し止めを命じたことに端を発している。これによって差し止められた捜査は935件に上る。旧COAFの調査で明らかになっていた、フラヴィオ上議がリオ州議だったときの職員ファブリシオ・ケイロス氏の口座への、(幽霊職員も含む)他の職員からの給与の大量振込み(ラシャジーニャ)疑惑もその中の一つで、捜査差し止めは強い反発を買っていた。
同件の審理は20日からはじまったが、その直前には、トフォリ長官が10月25日に現在のUIFを管轄する中央銀行に対し、COAF/UIFの過去3年分のデータのコピーを提出するよう命じたことが明らかになり、「検閲行為」との批判が出たことで長官が引き下がるという事態も起きていた。
だが、いざ、判事投票がはじまると、トフォリ長官に賛成する判事はなかなか現れず、賛同したのはマルコ・アウレーリオ、セウソ・デ・メロの2判事のみ。残る8判事は全員、トフォリ長官とは逆の投票を行った。
この投票結果にトフォリ長官自身が票を変えたため、最終的には9対2の大差で「検察や警察は裁判所の許可を得なくても、(国税庁などの)金融監査機関のデータを共有した捜査を行っても良い」ことになった。
この判決には、所得税申告や銀行取引明細書といったデータも含まれているが、この審理はまだ完結したわけではない。それは、UIFなどが疑惑を指摘してはじまった捜査は正当だが、検察や警察がUIFなどに捜査を依頼して得た情報の使用は不当との声があるためだ。この点をつめるための審理は12月4日にはじまる。
だが、トフォリ長官が禁じようとした、裁判所の許可を得る前に税務所やCOAF/UIFが入手したデータを使った捜査を止めることはできないのは、今回の投票結果で決定的になった。これにより、フラヴィオ氏などに対する捜査再開の可能性が高まっている。