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《ブラジル北部》パラー州=放火疑惑の消防士ら釈放=告発した市警警部は挿げ替え

9月に起きた森林火災の様子(Divulgacao Brigada de Alter do Chao, PA)

 【既報関連】パラー州サンタレン市アウテル・ド・ションの環境保護区で9月に起きた森林火災の放火犯として26日に逮捕された、非政府団体(NGO)所属消防士4人が28日に釈放され、担当の市警警部が解任されたと28、29日付現地紙・サイトが報じた。
 問題の火災は9月14日にアウテル・ド・ションの原生林で発生。ポンタ・デ・ペドラスの住宅地脇まで拡大後、17日に鎮火した。「フォゴ・ド・サイレ作戦」で逮捕されたのは、この時消火活動に加わった、NGOのブリガーダ・デ・アウテル・ド・ション(BAC)の消防士4人だ。
 市警は電話の盗聴記録などから、この火災は国際環境NGOのWWFからの資金を狙って起こした人為的なものと判断。WWFも火災の画像公開で多額の寄付を得たとして、BACとアキフェロス・アウテル・ド・ション研究所、プロジェト・サウーデ・エ・アレグリアの3NGOとWWFの家宅捜索を行い、消防士4人を逮捕した。4人の逮捕と家宅捜索を命じたアレッシャンドレ・リッジ地裁判事は、逮捕者尋問後も身柄拘束が必要と主張していた。
 だが、連警や連邦検察庁が、市警の捜査内容を疑問視。検察庁が州地裁の管轄かも含めた疑問を提起した事、エルデル・バルバーリョ州知事が同件担当者のファビオ・バルボーザ農地紛争担当警部を環境特別局のヴァウジル・カルドーゾ警部に挿げ替えた事、家宅捜索後も市警が新しい証拠を提出しない事を理由に、消防士釈放を決めた。
 検察庁は2015年から、アウテル・ド・ションを含むカパドシア地区での国有地の不法占拠などを捜査中だ。同地区には風光明媚な浜があり、観光業者や不動産業者が開発の機会を狙っている上、大豆栽培も拡大中。昔から、公有地を不正な形で私有化、分譲する、グリレイロと呼ばれる人達が暗躍している。
 公有地での伐採や火災の一部がグリレイロによるものである事は周知の事実で、昨年9月にはサンタレン市の公有地への侵入と不法伐採で、シラス・ダ・シウヴァ・ソアレスというグリレイロが有罪となった。9月の火災はソアレスが侵入した国有地でも起きており、連警も捜査していた。
 パラー州では森林伐採や森林火災が多発しており、現政権寄りの農場主が計画的に行った森林火災の事を報じたジャーナリスト脅迫などのきな臭い報道も行われている。