オンライン国際非営利組織(本部は米国ニューヨーク)Avaazがブラジル予防接種協会(SBIm)と共同で行った調査によると、ブラジルにはワクチン関連などの誤った健康情報を掲載するサイトが八つあり、その中の二つは「ワクチンよりも疾病予防に効果がある」などとする製品を販売する会社とつながりがあることが分かったと11月30日付ブラジル紙が報じた。
インターネット上には他にも、フェイスブックやユーチューブなどで嘘の健康情報を流し、「これを使えば、(飲めば)病気が奇跡的に治る」などと吹聴してネット上で物を売るといったケースがあふれている。
調べによると、その八つのサイトは2014年から2019年までに、合計1613件の健康に関する虚偽の情報を掲載していた。
また、こうした嘘サイト、嘘ニュースはフェイスブックで合計48万9千回拡散されたと見られている。主な偽ニュースには、「3種混合ワクチンは副作用で自閉症を引き起こす」や「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは危険」、「製薬業界はがんの治療法が発見されないように画策している」などがあるが、いずれも科学的に証明されていない。
〃嘘ニュースのチャンピオン〃とされたのは、ノチシアス・ナトゥライス(Noticias Naturais)とアンチ・ノヴァ・オルデン・ムンヂアル(Anti Nova Ordem Mundial)だ。この二つのサイトだけで979件の嘘ニュースが掲載されていた上、サイト記事の広告はどれも、トゥード・サウダーヴェル(Tudo Saudavel、TS社)という、自然食品や天然素材の製品の販売会社のものだった。
TS社の本部はサンタカタリーナ州フロリアノポリスで、「健康によい」「病気の治療、予防に効果がある」という謳い文句の自然食品などをインターネット通販や実店舗で販売している。
ブラジル紙が調べたところ、二つの健康情報サイトとTS社のサイトは同一人物または同一会社により運営されていることが判明した。また、情報サイトの掲示板には、サイト運営者が読者に「TS社の商品が良い」と勧める書き込みもあった。ブラジル紙はTS社にコンタクトを取ろうと試みたが、返答はなかった。
SBImのイザベラ・バラライ副会長は偽情報の32%は国外からのものとし、「健康問題では簡単に偽情報にだまされる人が多い」と警告している。