ブラジル国家衛生監督庁(Anvisa)は3日、大麻由来の成分(カンナビジオール)を使用した薬品のブラジル国内での製造、および流通の拡大を許可したと、4日付現地各紙が報じている。
Anvisaは同措置により、国内だけで1300万人が恩恵を受けるとしているが、大麻自体の国内栽培合法化には反対している。
カンナビジオールは疼痛緩和や神経系の疾病治療に用いられる。カンナビジオール以外の治療法では制御の難しい、てんかん症に使われることもある。
また、鬱(うつ)や不眠症などの治療にも効果があるとみられ、研究されている。
ブラジル神経学アカデミーのメンバーで、アルベルト・アインシュタイン病院所属医師のナウロ・ナルディ・ナデル氏は、「鬱や不眠症などにもカンナビジオールが使えると確証を持てるほどではないが、効果が期待できそうだとの調査結果が出てきている。今後の調査でさらにデータが集まれば、こうした病気への適用もあり得る」と語る。
ブラジル・カンナビス・サチーバ(大麻の学名)研究協会によると、神経系鎮静剤としててんかんや自閉症に効くことや、疼痛緩和効果があること、また、アルツハイマー病(認知症の原因疾患の一つ)の治療に効果があることを示す調査や研究は1960年代から行われているという。
現在はカンナビジオールを使った薬品は、医師の処方とAnvisaの承認を得て初めて、輸入が許可される。
大麻由来の成分の中で最も医学転用への研究が進んでいるのがカンナビジオールで、米国ではサプリメントとしても使われている。
Anvisaは2014年に、「医師の処方付き」の条件で、カンナビジオールおよび他の大麻由来薬品のブラジル国内での個人使用を許可したが、実際に必要としている人の手に届くまでには多くの手続きが必要で、時間やお金もかかる。
国内製造が許可されたことで、今後は今より価格も下がるが、多くの人にはまだまだ高額だ。
というのも、大麻そのものの国内栽培は依然禁止されており、製薬メーカーは薬品製造に必要な原材料を輸入しなくてはいけないからだ。
今回の措置は効果や問題点などを精査の上、3年以内に再検証される。Anvisaは、関連会社は効果、安全性を証明するための研究を怠ってはならないとしている。
患者たちには、来年上半期の内にも今よりも多くの薬品が届くことになる。
カンナビジオールを含む薬品の梱包には、他の薬品と混同するようなデザインは禁止され、説明書にも、薬品には依存症を引き起こす危険があることと、個人使用に限られることが明記される。
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