イラストレーター、画家、日系社会史研究家の故田中慎二さんの画文集『アンデスの風』(2017年、146ページ)が篤志家の好意により増刷され、再販売されている。初版本はたった100部しか印刷されなかったため、欲しくても入手できない人が多数いた。
同書をめくると、田中さんが好きだったパラナ松やボリビアなどの旅行先の風景画がたくさん掲載されている。貴重な初期のスケッチからパウリスタ新聞時代の風刺画、本の表紙やイラスト、最近のアクリル画まで、200点以上の代表作が詰め込まれており、田中作品の魅力を堪能できる一冊になっている。
田中さんは昨年9月にすい臓がんの治療中に感染症を併発し、83歳で亡くなった。絵画制作だけでなく記念誌の執筆・編集も手掛け、過去には『文協四十年史』、『文協50年史』、『援協四十年史』『ブラジル日系美術史』、『移民画家 半田知雄 その生涯』を出版したことでも知られる。
9月には一周忌を迎え、サンパウロ市のブラジル日本移民史料館では回顧展「田中慎二 a liberdade de viver a arte em vários mundos」が開催中だ。
西風会(せいふうかい)も10月に刊行した『西風』第10号の中で、『アンデスの風』の絵画とエッセイの一部を掲載。『西風』の装丁も田中さんが手掛けていた。
『アンデスの風』は初版第2刷、100レアル。本紙編集部や移民史料館に加え、太陽堂書店(電話=11・3208・6588)、フォノマギ書店(11・3104・3329)、高野書店(11・3209・3313)でも好評販売中。
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