ボルソナロ大統領が、新党・ブラジル同盟(APB)のサンパウロ州支部長ならびにサンパウロ州知事選候補にサンパウロ州工業連盟(FIESP)会長のパウロ・スカッフィ氏を希望していることがわかったと、13日付エスタード紙が報じている。
同紙は、ボルソナロ氏がスカッフィ氏に接近する理由として二つの要因をあげている。
一つ目は、大統領が社会自由党(PSL)を離党したことで、両院政府リーダーを務めたジョイセ・ハッセルマン下議や自分の三男のエドゥアルド下議など、サンパウロ州で影響力を持っていた人材を失ってしまったことだ。エドゥアルド氏はPSLの下院リーダーとサンパウロ州支部長を務めていたため、大統領らと共に離党できなかった。
もう一つの理由は、ボルソナロ氏が企業家から高い支持を得ていることだ。ボルソナロ氏の国民全体の支持率は約30%だが、企業家は60%が現政権を「良い/最良」と評価している。また、全国工業連合(CNI)も、11日にボルソナロ氏を顕彰している。
FIESPはサンパウロ州内の企業をまとめ、実業界に強い影響力を持っているため、スカッフィ氏を取り込めれば、ボルソナロ氏には好都合だ。
また、両氏は以前から良好な関係にある。彼らのつきあいはジウマ政権の頃、下議だったボルソナロ氏がスカッフィ氏を批判した下議に対し、同氏を擁護したときからはじまったという。
両氏の仲はボルソナロ氏の大統領就任以降さらに深まり、企業家との食事会も頻繁に実施。大統領が10月に中国を訪問し、習近平国家主席と会談した際や、11月にブラジリアで開かれたBRICS会議での夕食会にもスカッフィ氏は参加している。
また、スカッフィ氏が以前から軍と強い関係を持っていることも、ボルソナロ氏が同氏を好む理由になっているという。
ボルソナロ氏はスカッフィ氏にサンパウロ州の企業家たちの支援取り付けと、サンパウロ州内の党員のまとめ役をと願っている。また、2022年に行われるサンパウロ州知事選の候補にもと考えているという。
一つ問題があるとすれば、スカッフィ氏が民主運動(MDB)党員として知られていることだ。同氏は、14年と18年のサンパウロ州知事選にもMDB候補として出馬。14年は2位、18年は3位となった。だが、MDBはサンパウロ州知事のジョアン・ドリア氏(民主社会党・PSDB)に接近する傾向にあり、スカッフィ氏はMDB内で孤立しはじめているという。
また、ボルソナロ氏は、来年のサンパウロ市市長選へのAPBからの候補として、バンデイランテス局のニュースキャスター、ジョゼ・ルイス・ダテナ氏を希望しているともいわれている。
ボルソナロ氏がダテナ氏を希望していることは以前から知られている。ダテナ氏も以前から政界進出の噂が絶えず、16年のサンパウロ市市長選の際も、進歩党(PP)の候補として出馬を目指したが、断念した経緯がある。