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《ブラジル》原油流出事故に新説=「大西洋アフリカ沖から流出」?

ブラジルにとって極めて重要な観光、漁業資源である美しい海を守るための活動が行われている(Marinha do Brasil)

 【既報関連】8月末から続くブラジル北東部を中心とした海岸への原油漂着に関し、ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)が、ブラジルに漂着した原油は大西洋の西アフリカ沖から流出したとの仮設を発表した。
 ブラジル北東部を中心とした海岸に原油漂着が発生して以来、ブラジル海軍や連邦警察、国防省また、各研究機関が、原油の発生源や責任者を究明すべく調査を行ってきた。
 様々な機関が「ベネズエラ説」、「ギリシャ船籍の船から流出説」、「航行レーダーをわざと切った幽霊船説」を唱えてきたが、INPEの仮説はこれらと対立するものだ。
 11月初旬にブラジル国防省と海軍、連邦警察は、7月29日にパライバ州の733・2キロ沖合いに巨大な原油のしみが見られ、その頃に同海域を航行したギリシャの船舶輸送会社デルタ・タンカーズ所属の船が怪しいとしていたが、同社は関与を全面否定していた。
 ブラジル下院は原油流出事故に関する調査委員会を設置しているが、ブラジル海軍は先週の調査委員会での公聴会でも、流出源については発言を避けた。
 「大西洋アフリカ沖から流出」説は、INPE所属研究員のロナウド・ブス・デ・ソウザ氏がまとめた。同氏は原油危機継続調査グループ(GAA)にも所属している。
 デ・ソウザ氏によると、9月にブラジル北東部に漂着した原油の動きを、風や海流、波のデータからさかのぼると、原油のしみは4月上旬に大西洋アフリカ沖で発生したと推測できるという。
 しかし、デ・ソウザ氏は、発生原因は船舶事故なのか、不法海洋投棄なのか、海底油田からの流出なのかといった詳細は明らかにしなかった。
 INPEは、最近ではブラジルの海岸への新たな原油漂着は発見されていないものの、原油自体はまだ海底、海洋に残っていて、今後、海流の方向次第でブラジルの海岸に漂着する危険性がないとも限らないとした。
 デ・ソウザ氏は、11日のCPIで、「原油流出は4月にアフリカ沖で発生したが、それがどうしてかは、衛星写真からのデータだけでは分からない」と語っている。
 ブラジル海軍は、ブラジルの海岸に漂着した原油はベネズエラの油田から採掘されたものであることを再確認した。
 8月30日に、ブラジルのパライバ州で最初の原油漂着が確認されて以来、100日以上が経過している。
 これまでに原油が漂着した場所は、ブラジル北東部を中心に南東部の一部にいたるまでの総延長3600キロで、924カ所の海岸、島、河口、干潟を汚染した。
 海軍や国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)その他の公的機関、地元の人々の献身的努力によって回収された原油は5千トンに及んでいる。(14日付エスタード紙より)