【既報関連】法定アマゾンの森林伐採や森林火災増加で国際社会から批判を浴びたブラジルだが、法定アマゾンの森林伐採は減っていないと13日付現地紙サイトが報じた。
国立宇宙研究所(Inpe)が発表したのは、ボルソナロ大統領やリカルド・サレス環境相が批判した、衛星による森林伐採管理システムDeterによる月次報告だ。
それによると、11月の法定アマゾンの森林伐採は563・03平方キロで、同月としては2015年の統計開始以来の最高値だ。昨年11月の276・40平方キロと比べると103・7%増えている。11月は雨のせいで森林伐採が減る時期だ。今年もアマゾン西部では雨が降り始めており、気候変化に伴う伐採増とは言い難い。
1~11月の森林伐採は既に8794平方キロに達し、8~11月だけでもほぼ5千平方キロが失われた。昨年1~11月は4879平方キロ、8~11月も2千平方キロ弱だから、伐採増は11月だけの事ではない。
Deterのデータは公的な年次報告に使うProdesほど精密ではなく、11月18日発表の年次報告の数字9762平方キロは、月次報告累計を42%上回った。Deterのデータは、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)などが不法伐採を取り締まったりするのに使う。
ブラジルでは選挙年は森林伐採が増える傾向があるが、今年は選挙年ではないため、現政権のアマゾン開発や先住民居住区、環境保護区内の鉱物資源採掘を容認する姿勢などを受けた伐採増加といえ、不法伐採が増える傾向にある。
不法伐採は資源開発や農牧地開発のためだけではなく、公有地に不法侵入した人々が、森林伐採や焼畑で整地した後、定住し、不法な分譲などを行う例も多い。ボルソナロ大統領が10日に署名した暫定令(MP)は公有地への不法侵入者に恩赦を与えるものとして国際的な批判も浴びた。専門家は、不法伐採や不法分譲などを促進する可能性を懸念している。
2~15日開催の気候変動枠組条約締約国会議(COP25)では、気候変動に悪影響を与える国や機関に与える化石賞2度だけでなく、年間賞の巨大化石賞も受けたブラジル。サレス環境相は同会議で、ブラジルは森林保護に努めており、カーボンクレジットを受け取るのに値すると主張したが、法定アマゾンの森林伐採関連のデータを見る限り、伐採抑制への具体策は何も採られていないといえそうだ。