18日午前、リオ州検察局が、ボルソナロ大統領長男フラヴィオ上議のリオ州議時代の元職員ファブリシオ・ケイロス氏や、大統領前夫人のアナ・クリスチーナ・ヴァレ氏とその親族9人などを対象に家宅捜索を行った。18日付現地サイトが報じている。
今回の捜査は、昨年12月から報道されはじめたケイロス氏の口座に対する「ラシャジーニャ」を対象としたものだ。ラシャジーニャとは、幽霊職員も含む議員付職員の給料の一部もしくは全額が、議員やその部下などの特定人物に集中的に振りこまれる不正行為だ。
金融活動管理審議会(Coaf、現在は中銀金融情報部・UIF)の調べによると、ケイロス氏は2016年1月から17年1月までだけで120万レアルのラシジーニャを受けていた。
ケイロス氏は元軍警で、フラヴィオ氏の職員を2007年から約12年間つとめており、リオ市内のミリシアとのつながりが深いとも報じられている。
今回の捜査では、ケイロス氏はじめ、ラシジーニャにかかわったと思しき人物が対象となっており、24件の家宅捜索令状が出された。家宅捜索の対象となったのは彼らの現住所などだ。フォーリャ紙サイトによると、フラヴィオ氏が共同経営しているコペンハーゲン社のチョコレート販売店も家宅捜索の対象となっている。
対象者の内、ケイロス氏の親族は同氏の妻と実娘、ボルソナロ氏前夫人のアナ・クリスチーナ氏の親族は、同氏の父親と姉妹1人、いとこ3人、おば3人、おじ1人の計9人だった。
アナ氏はボルソナロ氏の2番目の妻で、大統領の4番目の子供となるジャイール・レナン氏の母親だが、2008年に離婚している。
ケイロス氏に関する疑惑捜査は18年1月にはじまっており、昨年末に報道がはじまると、ボルソナロ政権最初のスキャンダルとして騒がれた。
だが、今年7月、ジアス・トフォリ最高裁長官が、「Coafなどのデータを使う捜査には司法当局の許可が必要」として、裁判所の許可を得ていない捜査を打ち切った。ケイロス氏の件もそれに含まれていたが、11月の最高裁審理で「司法の許可がなくても捜査可」の判事票が上回ったため、ケイロス氏への捜査再開は時間の問題と見られていた。
今回の捜査はリオ刑法裁判所のフラヴィオ・イタバイアーナ・オリヴェイラ・ニコラウ判事の許可の下で行われたが、同判事は同時に、捜査対象となった人たちの電話通信記録やワッツアップなどの通信ソフトでの会話内容などを調べる許可も出している。
ケイロス氏の件表面化以来、同氏の資産だけでなく、フラヴィオ氏を含むボルソナロ家の資産が飛躍的に増えていたことなども報じられている。