サンパウロ州内陸部ピラシカバ市で、助産婦や介添え人の担当分野を拡大する事で自然分娩が増え、母体にも新生児にも良い結果が出ていると17日付アジェンシア・ブラジルが報じた。
サトウキビ供給者病院(HFC)は昨年から、サンカルロス連邦大学の拡大プロジェクトの一環として、6時間か12時間で機械的に人を入れ替え、明確な基準もなく行われていた分娩と、妊婦や新生児の扱いが医師に集中する体制を見直した。出産時の作業が医師に集中し、担当者が常に入れ替わると、帝王切開が多用され易い。
だが、出産に携わるスタッフに助産婦や介添え人を加え、最低1日6時間は同じスタッフが詰められるような勤務体制を敷いたところ、スタッフ同士の意思の疎通はもちろん、妊婦の安心感が増し、患者への対応が継続的になったという。
結果はすぐに表れ、妊婦達はより自然な形で分娩に入るようになった。妊婦達が必要としていたのが機械的な妊娠の中断(帝王切開)ではなく、肉体的、精神的なサポートであったからだ。
HFCでは帝王切開の比率が70%から40%に落ち、妊婦や新生児への対応もより望ましいものになったという。助産婦や介添え人が増えた事で、分娩中の食事や病室の環境も変わり、日常的に行われていた帝王切開による問題が減った上、集中治療室に運ばれる新生児の数や日数が減る、妊婦の回復や授乳がよりスムーズになるといった結果も表れた。
帝王切開では感染症や呼吸器系の問題が起こり易く、新生児を集中治療室に入れるケースも増えるが、HFCの集中治療室占有率は80%から45%に低下。助産婦達が立ち会う事で分娩はより自然になり、出産時に行う会陰部切開も減った。
もちろん、妊婦や胎児に無理がかかる場合や命の危険を伴う場合は帝王切開が必要だが、HFCでの試みは、国際基準では20%以下が理想とされる帝王切開が60%に及び、妊婦死亡率が1千件あたり50人(理想は20人以下)というブラジルの現状改善に役立ちそうだ。
19日付エスタード紙は、妊婦 の同意も得ずに帝王切開などの医療介入を行う事を認める連邦医師審議会の基準を裁判所が覆した事も報じた。