ブラジル三重県人文化援護協会(下川孝会長)は忘年会を、サンパウロ市ビラ・マリアナ区の同会館で15日に開いた。会員とその家族ら約80人が参加し、県人会婦人部の手料理による昼食やビンゴを楽しんで親睦を深めた。
11月下旬に和歌山県で開催された「和歌山県人会世界大会」に合わせ、クイックリー・トラベル社が同県と三重県を巡るツアーを実施。参加した下川会長から報告があった。
下川会長らツアー参加者は両県の名所を巡り、三重県庁で鈴木英敬知事との面会も行った。下川会長はツアーの写真を参加者に披露した。
また「ブラジルは不況だが、三重県人会は今年黒字で運営できた。協力してくれた皆に感謝したい」と謝意を示した。その後は渡部一誠さんの音頭で参加者一同乾杯。歓談しながら昼食をとり、ビンゴで盛り上がった。
忘年会に夫婦で参加した諸戸米四郎さん(85、二世)。父は桑名市出身で、1933年にサンパウロ州マリリアに移住。3年ほどで帰国する予定で綿花栽培を営んでいたが、第2次世界大戦の勃発で帰国できず、44年にブラジルで死去した。現在は息子がデカセギで訪日し、四日市市で15年以上生活している。「来年は息子に会いに訪日しようと思う」と抱負を語った。
下川会長(76、二世)は来年の県人会運営について「会員が高齢化する今後は、三、四世の若い力が必要になる。約200人の元研修・留学生がいるので、彼らを引き入れ、県人会の後を継いでほしい」とした。
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三重県人会の忘年会で、「和歌山県人会世界大会」に合わせた訪日ツアーについて報告を行った下川孝会長は、印象に残った場所に三重県伊賀市を挙げた。同市は忍者がいたことで知られ、観光資源として忍者に関する施設を有し、活発に忍者文化を発信している。下川会長は「日本の歴史に興味がある人には大変面白い場所だと思う」と感想を述べた。サンパウロ市リベルダーデ区では、週末に祭りなどイベントが開かれると、必ずといっていいほど忍者を題材にした日本の大人気漫画『NARUTO‐ナルト‐』の登場人物に扮したブラジル人の姿が見られる。三重県人会は、移住者は決して多くないが、今後は忍者好きのブラジル人を取り込んで会員増加を図るべきか?!
◎
三重県人会は来年1月の総会で役員を改選する。下川会長は「2023年の三重県人移住110周年に向け、今から動き出している」と話し、次期役員も重要な業務を担うことを示唆した。周年記念行事となれば、母県からも慶祝団を招き、日伯県人の交流を深める絶好の機会。母県との友好関係も維持できるよう努力してほしいところ。