今年最後の当コラムということで、コラム子が個人的に気になっているニュースについて語ることにしよう。
それは、パラナ州検察局のリーダー格の人物、ジャヌアリオ・パルード氏に収賄疑惑が2件、立て続けで報じられたことだ。パルード氏は同検察局のラヴァ・ジャット(LJ)作戦主任のデウタン・ダラグノル氏の上司にあたる人物。LJ班のワッツアップでのグループ名が「ジャヌアリオの息子たち」になっていることでも、その影響力の大きさは図り知れるだろう。
その最初の疑惑は11月30日のサイトUOLによるものだ。それによると、11月に行なわれたリオでのLJ作戦で押収された電話の記録で、大物闇オペレーターのダリオ・レッセル容疑者が恋人に18年8月に行なった電話で「子分がパルードに毎月賄賂を払ってるんだ」と語ったという。
その子分とは、クラウジオ・フェルナンド・バルボーザ・デ・ソウザ、ヴィニシウス・クラレ・ヴィエイラ・バレット両容疑者のことで、すでに資金洗浄で逮捕。すでに両者は報奨付証言を行なっているが、昨年、「弁護士のアントニオ・フィゲイレード・バスト氏に、レッセル氏が逮捕されずにオペレート業ができるよう、毎月5万ドルを払っている」と語っていた。
そして、この報道を読んだスペイン在住の弁護士タクラ・ドゥラン氏が「だからメッセルは長いこと逮捕されなかったのか」とツイートしたことが一部話題を呼んだ。
ドゥラン氏はオデブレヒト社の弁護士として知られているが、同氏は以前から「パラナ州検察局は捜査を行いやすくするために、あえて裏情報を教えてくれるオペレーターを賄賂と引き換えに野放しにしている」との主張を行なっていた。
ドゥラン氏によると、バスト弁護士は1990年代から同じやり口で賄賂を受け取っていたが、当時、同検察局が知名度をあげたのがバネスタード作戦だったという。同作戦の担当判事だった人物がセルジオ・モロ氏。後のラヴァ・ジャット作戦判事、現法相だ。
同作戦は、同州のバネスタード銀行が米国のアメリカ銀行に数100億レアルの横流しを行なっていた事件では97人が有罪となり、モロ氏が名を挙げる契機となった。だが、事件への関与が強く疑われていた民主社会党(PSDB)の政治家は罰せられず、後にLJの主犯となったオペレーター、アルベルト・ユセフ氏がこの当時に有罪を免れていた。
続いての報道は12月13日のヴェージャ誌。そこでは、「ヴァザ・ジャット報道」のもととなった、LJ作戦班のメンバーらの携帯アプリでの通話をハッキングした犯人ヴァウテル・デウガッチ・ネット容疑者が、「パルード氏がペトロブラスのレナト・ドゥケ氏から賄賂を受け取る音声を持っている」と語っている。
レナト・ドゥケ氏は、ラヴァ・ジャット作戦の大部分を占めるペトロブラス内で横行していた収賄工作の中でサービス部の部長をしていた人物で、その工作により逮捕。実刑で受けた年数は数10年にも膨れ上がっている人物だが、同氏は労働社党(PT)からの推薦で同職についており、PTの大物に関しての疑惑を知っているのではないかと目されている。だが、今日まで報奨付証言に応じたことはない。
パルード氏はルーラ元大統領のマリーザ夫人が亡くなった際、それを祝う発言があり問題視された過去がある。
この2つの報道は、なぜか他の大手メディアに後追いされないままになっている。ヴァザ・ジャット報道のアメリカ人ジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド氏のように「ブラジルのマスコミはLJのスポンサー」との発言をかねてから繰り返している人がいるのも、そのせいか。(陽)
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