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《ブラジル》末期ガンから回復のカストロ氏=事故に遭い、あっけなく死亡

 末期リンパ腫で痛み止めのモルヒネを毎日、上限量まで使い、体重が激減して、自分では歩けなかったのに、ガンが消滅し、普通の生活に戻った「奇跡の人」ヴァンベルト・ルイス・デ・カストロ氏(62)が、11日にミナス州ベロ・オリゾンテ市で事故に遭い、頭蓋骨骨折の重傷を負って帰らぬ人となった。
 カストロ氏は17年以降、化学療法や放射線療法、免疫療法を試した。だが、期待した結果は得られずに症状が進み、死の恐怖に直面していた。
 だが、9月9日にサンパウロ州リベイロン・プレットのサンパウロ総合大学血液センターに入院し、ラ米初のCAR―T細胞療法を受けたところ、腫瘍を示す黒い影が激減し、モルヒネも不要となり、自力で歩けるようになった。
 40日間の入院生活で実質的に癒されたと判断され、地元のベロ・オリゾンテに戻ったのは10月13日。以来、家族と共に生活していたが、事故に遭い、完治したかの正式判断を下すための5年間の観察期間を経る事もなく、亡くなった。
 これまでの苦しみを見てきた妻が「信じ難い」という程の変化を遂げ、自分の足で歩いて帰宅できると喜んでいたカストロ氏。医師達は同氏の死はガンとは無縁だと説明している。
 なお、同氏が受けたCAR―T細胞療法は、遺伝子学を駆使し、血液から取り出したT細胞(リンパ球の一種)を、ガン細胞などの表面に発現する特定の抗原を認識して攻撃するCAR(キメラ抗原受容体)―T細胞に改変。十分な数まで培養後に体内に戻されたCAR―T細胞は、ガン細胞の表面に取り付き、死滅させる。
 CAR―T細胞投与前には、体がこの細胞を受け入れやすくするためのリンパ球除去が必要で、ある程度の副作用も起きるが、たった1回の細胞投与でガン細胞が死滅し始めるため、それ以外の方法では効果がみられなかった患者にも大きな効果が期待される。
 カストロ氏自身、自分のように他の治療方法が機能しなかった患者にも朗報とし、この療法が普及する事を望んでいた。(18日付G1サイトより)