ブラジル中西部の南マット・グロッソ州カンポ・グランデ市で22日未明、市内にあるブラジル銀行に向かってトンネルを掘っていたグループが摘発され、警官との間で銃撃戦が展開された。
グループが目指していたのはブラジル銀行中央管理センターの金庫で、現地時間の22日午前0時30分頃に警察が乗り込んだ時には、既に約70メートルのトンネルが出来ていた。銃撃戦では犯行グループのメンバー2人が死亡。6人が逮捕された他、小型トラック2台とトラック1台が押収された。
犯行グループは5月にモンテ・カステロ地区の倉庫を借りて、銀行までのトンネルを掘り始めていた。
逮捕されたメンバーの内、グループの長とみなされている1人は前科者で、やはり銀行強盗の罪で収監されていた男とつるんで刑務所からトンネルを掘り、脱獄。今回のブラジル銀行襲撃事件でも一緒にトンネルを掘っていたという。
このグループは、偽の書類を作って倉庫の賃貸契約を結び、倉庫に目隠しの扉を設置すると、トンネルを掘り始めた。
深さ6メートルの所に掘られたトンネルは、5メートル毎に照明と扇風機が付けられ、全長70メートルに及んだ。さらに、ミネラルウオーターを入れる冷凍庫などを用意しており、作業が終わると、石灰をまいて、警察が踏み込んでも、尻尾を捕まれない工夫もしていたという。掘り進む過程で出た土は何千もの袋に入れて積み上げられており、天井に届くばかりになっていたという。
同件を担当するジョアン・パウロ・サルトリ警部によると、警察は約半年前からこのグループの動向を捜査していた。容疑者の1人はクイアバ市に建設会社を持っていたが、カンポ・グランデのショッピングセンターで仕事を頼まれ、大金を稼げる事になったから会社を売り払うと妻に告げていたという。
逮捕者6人の内、唯一の女性は経理を担当。毎日の作業後の痕跡を隠すための石灰、資材を購入したり運んだりするための車の燃料、倉庫の賃貸料、メンバーの食費、電気代、警察の捜査の手を免れるための様々な機器の配備などに費やした経費は、週2万1千レアルに上っていたという。
警察は、金庫の金を盗み出す際は、爆発物を使わず、油圧ジャッキを使用するつもりだったと見ている。また、携帯電話やWi―Fiなどのシグナルを消すための機材を導入し、ミネラルウオーターの瓶のラベルも外すなどし、動向を探られ難くしていた。警察は犯行グループの資金の出所なども捜査している。(23日付エスタード紙、22、23日付G1サイトなどより)