ブラジル、フォーリャ紙が行った、ブラジル国内663カ所の海岸の水質調査によると、全体の42%が「悪い」「とても悪い」に分類されることが分かった。21日付同紙が報じている。
調査対象となったのは、ブラジル環境省により、国内でも多くの観光客を集め、ホテルの総ベッド数が多く、観光業での雇用者数も多いと分類された31市にある663カ所の海岸だ。
今年の調査結果は、昨年の11月から今年の10月にかけての1年間のもので、水質が「良い」とされたのは全体の28%。「まずまず」は29%、「悪い」は14%、「とても悪い」は28%だった。「悪い」、「とても悪い」と評価された海岸は、4回に1回は「海水浴に適していない」と出たことを意味する。
この調査は2016年から始まった。同年は「悪い」、「とても悪い」の合計が36%だったが、17年は35%、18年は40%、今年は42%と、悪化の傾向にある。
水質の悪い海岸で海水浴をすると、胃腸系の疾病や白癬(はくせん)などの皮膚感染症にかかりやすくなる。
また、水質を左右する要因として、海中のゴミや、今年の後半に大問題となったブラジル北東部地域への原油漂着もあるが、今回の調査ではそれらの影響は調査されなかった。
「地元州政府に最低限の見識があるならば、水質調査をしっかりやり、水質管理部門への投資を行うべき。水質管理がしっかりなされてこそ、旅行者は安心感を覚え、そこの海岸を旅行先に選ぶ」と、リオ州立大学海洋学教授のダヴィジ・ゼー氏は語る。
適切な処理が施されてから河川に流されている排水は46%しかないことを同教授は特に心配しており、「自分たちが海水浴をし、漁業を行う海に排水を流すなんて馬鹿げたことが続いている」と語った。
下院は11日、国内の水道事業に私企業が参加することを認める法案を承認した。同法案の目的は2033年までに国内全ての排水を適切に処理することだが、同法案のはまだ上院での審議が終っていない。
12カ月間をかけて水質が調査されたのは14州の海岸で、リオ州、サンパウロ州などの南東部の水質は最も悪化した。年中多くの観光客で賑わうリオ市では、64カ所の観測点の内、「良い」とされたのは4カ所だけだった。
サンパウロ州海岸部で観光省が推奨する5市(イーリャ・ベーラ、ウバトゥーバ、プライア・グランデ、グアルジャー、サンセバスチアン)の各市では、プライア・グランデ市が最も悪く、12の観測点が全て「悪い」か「とても悪い」だった。イーリャ・ベーラでも、19カ所の観測点中12カ所が「悪い」か「とても悪い」だった。
ただし、サンパウロ州の環境浄化技術公社は、同州の167海岸の内、海水浴に適さないのは14海岸のみとしている。