2019年も「激動のブラジル」の印象は変わらず、多くのニュースで賑わったが、それらの中で本紙が独自に順位をつけた10項目を紹介し、振り返ってみる。
第1位は、「ボルソナロ大統領、世界で有名人に」。就任前から「南米のトランプ」として注目され続けていた大統領は、その数々の言動で世界的に有名な存在となった。
その象徴とも言えたのが、8月に起きた、アマゾンの森林火災の拡大に対する国際的な批判に対し、「世界はブラジルからアマゾンを奪おうとしている」との持論を展開し、森林伐採拡大を擁護。森林伐採や森林火災を巡って、フランスのマクロン大統領や俳優のレオナルド・ディカプリオ、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんと批判の応酬をしたことで、知名度が国際的になった。
第2位は、「ヴァザ・ジャット報道」。ハッカーがアクセスした、ラヴァ・ジャット作戦班の携帯電話での会話内容が報じられ、検察との癒着や政治家の選り好みなどの疑惑まで浮上したことで、これまではブラジル国内で「絶対的な正義」との印象だったセルジオ・モロ現法相のイメージが大きく揺らいだ。
第3位は、11月の「ルーラ元大統領の釈放」。モロ法相が判事時代に行ったルーラ氏の裁判がヴァザ・ジャットで揺らいだことや、ボルソナロ政権への国民の猜疑心が、有罪判決後の刑の執行時期に関する最高裁の判断を間接的に変えさせた。
第4位は、「社会保障制度改革」の承認。FHC政権の時からの懸案だった同制度が、時間がかかったものの承認されたことはボルソナロ政権には朗報だった。
第5位は、大統領長男フラヴィオ上議の疑惑。リオ州議時代の職員、ファブリシオ・ケイロス氏の口座への幽霊職員による巨額振込み疑惑は年始から騒がれ、捜査再開で過熱中だ。
第6位は、ボルソナロ家のマリエレ・フランコ氏殺害関与疑惑。殺害容疑者が事件当日に大統領宅に連絡を取ったとの門番の証言で10月に浮上した。大統領次男カルロス氏は現在も、リオ市警に関与が疑われている。
第7位は、サッカーのフラメンゴの全国制覇と南米一。ブラジル・サッカー史に残る華やかなメンバーのチームだった。
第8位は、「南米の動乱」。チリ、エクアドル、コロンビアで新自由主義経済に反対する民衆デモ、ペルーで大統領と国民議会が機能停止の応酬、ボリビアで大統領選違反疑惑を巡り、極右勢力の暫定政府誕生など、荒れに荒れた。
第9位は、ドルがレアル・プラン後では最高値の1ドル4・20レアルを突破。他方、サンパウロ株式市場の平均株価指数も11万6千ポイントに達し、新記録を更新した。
第10位は、ボルソナロ大統領による所属政党・社会自由党(PSL)離党と新党結成だ。