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【2020年新年号】奉祝! 新天皇陛下の御即位=平成から令和へ=令和2年、新年に皇室の弥栄を祈る

赤坂御所お談話室にて【写真提供:宮内庁】

新しい御代の始まり

 旧年5月1日、新緑の眩い季節の中、「令和」の新たな御代が始まりを迎えた。皇太子徳仁親王殿下は、第百二十六代天皇として践祚(天子の位を継ぐこと)された。天皇御一代限りの即位に関する一連の儀式は恙なく行われ、国中が祝賀に包まれた一年となった。
 光格天皇以来、約二百年振りに譲位によって践祚された新天皇陛下。昭和天皇ご崩御により、国中が沈む中で厳粛に行われた平成御大礼とは様相を異にし、新元号の発表により祝賀気運が高まる中での異例の御代替わりであったと言える。
 ご践祚後の一般参賀に於いては、参賀者数は約14万人超に上り、国民の関心の高さを伺わせた。在伯日系社会に於いても、五団体共催の祝賀晩餐会が行われたのは記憶に新しい。
 ご践祚後、天皇皇后両陛下の一挙手一投足に注目が集まる中、令和初の国賓である米トランプ大統領夫妻とのご会見は、新時代の皇室を印象付けることとなった。
 これまで上皇上皇后陛下は、通訳を介して外国要人とお話をされるのが一般的であったが、留学経験を有し卓越した英語力をお持ちの両陛下は、通訳なしで親睦を深められたのだ。
 その中で、適応障害による長期療養から目覚ましい回復を見せられ、陛下をお傍で支えられる皇后陛下のお姿には、多くの国民は安堵と共に大きな喜びを感じた一年でもあっただろう。
 旧年12月のお誕生日に際してのご感想に於いて、皇后陛下は以下のようにお気持ちを述べられている。
 《天皇陛下のお務めの重さを常に心にとどめ、陛下をお傍でお助けできますように健康の一層の快復に努めながら、皇后としての務めを果たし、陛下とご一緒に、国民の幸せに力を尽くしていくことができますよう努力してまいりたいと思っております》
 一連の儀式や地方行幸啓を恙なくこなしておられる皇后陛下ではあるが、今なお治療を継続しておられる。国民としては過度な期待をおかけしないよう、温かくお見守り申し上げたいところである。

平安絵巻さながらの雅さ

 さて、旧年中に於いて、最も国民的関心を集めたのは、10月の「即位礼正殿の儀」であっただろう。黄櫨染御袍をお召しになった天皇陛下、十二単をお召しになった皇后陛下が高御座、御張台にお姿を現され、天皇陛下は国内外にご即位を宣明されたのである。
 《国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います。国民の叡智とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします》とお言葉を宣われたのだ。
 国民の安寧をひたすらに願い続けられる、世界でも唯一無二の尊い存在であられる天皇の祈りの伝統が、新天皇陛下に継承されていることが如実に示された一幕でもあった。
 天皇御一代限りの慶事には、191の国と国際機関から四百数十名、国内参列者を含めて約2千人が参列する中で厳粛に執り行われた。古式ゆかしい平安時代からの装束、十二単をお召しになった皇族方のお姿は、平安絵巻さながらに雅で美しいものであった。
 万世一系で、世界最古の歴史を有する皇室を戴く日本国をより強く誇りに感じた国民もさぞや多かったことであろう。ブラジルに於いても、テレビの生中継で夜を徹して釘付けになっていた日系人が多かったことは、本紙で報じた通りである。

ご即位後の一般参賀の様子(写真:大澤航平)


天皇御一代限りの大嘗祭

 また、旧年中に於いて、最も重要であったのが11月の「大嘗祭」であったと言えよう。大嘗祭とは、命の源である自然の恵みに感謝し新穀を神々に祀ることで、国家と国民の安寧や五穀豊穣を祈念するもので、即位後初めて行われる新嘗祭のことを言う。毎年行われる新嘗祭が翌年への祈りを込めたものであるのに対し、天皇御一代限りの大嘗祭は、令和の御代への果てしない祈りが込められている。
 天孫降臨の際に、天照大御神が御孫である瓊瓊杵尊に人々の食の糧となる神聖な田の稲穂を授けられ、御子孫が代々天皇として御位を継がれ、日本国を治められると共に、皇祖神である天照大御神を祀られてきた。
 稲作によって豊葦原の瑞穂の国である日本国を豊かにすることは神代からの使命であり、これは長い歴史を通じて変わることのないお約束である。夜を徹して行われる日本で最も重要なお祭りが大嘗祭であり、大祭司であられる天皇陛下の尊いお務めである。それゆえ、大嘗祭を行わずして退位した天皇は、歴史上では半帝とも呼ばれたほどなのである。
 さて、旧年中は、即位に関する一連の儀式が恙なく行われた一方で、大型台風による被害が相次ぎ、日本列島各地において国民生活に甚大な被害を与えた。
 予てより、水問題をご研究され、「水」を切り口に国民生活の安定、発展、豊かさや防災などに考えを巡らされ、国民の幸せを祈ってこられた今上陛下の御心に呼応するよう、防災への取り組みが各地で進むことを期待したいところである。
 「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められた令和の御代はいよいよ幕を開けた。
 新年に新たな御代における皇室の弥栄を祈るとともに、在伯日系社会も、皇室、日本国民とともに心を寄せあい共に手を携える中に於いて、日本国とブラジルの発展、そして、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄を共に実現させるべく貢献したいものである。(大澤航平)