国民の民主主義への信頼感がボルソナロ大統領就任1年後にやや揺らいでいることや、国民の6割ほどは軍政時代の「軍政令第5条(AI5)」を知らないこと、軍事政権時代の印象が悪化し、再軍政化は起こりえないと考える人が増えてきていることがダッタフォーリャの調査でわかったと、1日付フォーリャ紙が報じている。
今回の調査は19年12月5~6日に全国176市、2948人を対象に行われたもので、「民主主義こそが最高の国家統治方法」だと考えている国民は62%だった。
数字そのものは、歴代の調査でもわりと高い方だが、2018年の大統領選の只中に行われ、過去最高を記録した69%と比べると、7%ポイントも後退した。
「軍事政権の方がよい」という意見は1年前の13%とほとんど同じ12%だが、「どちらでもかまわない」という意見は、13%から22%へと大幅に増えている。今回の調査での誤差は、上下2%ずつだ。
民主主義を支持する人の割合は、大学卒業者が85%、最低給与の10倍以上の所得者も81%と高い。だが、小学校までしか出ていない人では48%、最低給与の2倍以下の人も53%と低くなっている。
ただ、その一方で、「実際に軍事政権になる可能性」に対する国民の危機感は下がっていることもわかった。
18年10月には、軍政復帰が起きる可能性が「大いにある」と考えていた人が31%いたのに対し、今回の調査ではそれが21%に後退。「少しはある」は19%から25%に上がった。また、「その可能性はまるっきりない」が42%から49%に上がり、14年2月の51%に近づきつつある。
また、昨年10月末に大統領三男のエドゥアルド下議が言及し、国内に緊張感が走ったAI5に関する質問では、65%が「聞いたことさえない」と答えている。
エドァウルド氏の発言直後に行われた調査では、82%が「聞いたことがない」だったので、それ以降の報道などを通じてAI5の知名度が上がったことがわかる。だが、軍政下での政治犯の取り締まりや検閲が強化された1968~78年の悪名高い法律に関して何も知らない国民は、依然として多い。
今回の調査では、「軍事政権は負の遺産を残した」と判断している人が59%おり、18年10月の51%より上がっていることもわかった。
14年2月の調査では、「負の遺産」と考える人が46%、「正の遺産」と考える人が22%、「わからない」が32%だったが、18年10月は、「負の遺産」が51%、「正の遺産」が32%、「わからない」が17%。今回調査では、「正の遺産」が30%、「わからない」が12%となっており、「負の遺産」と自覚する人が増えてきていることが明らかになった。