米国国防総省が2日夜(現地時間3日未明)、イラクの首都バグダットでイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表した。事件の余波は世界中に広がっているが、事件を受けて、ボルソナロ大統領を始めとするブラジルの反応を、3日付ブラジル紙・ニュースサイトが報じた。
ブラジリア時間の3日午前8時19分、英国産ブレント石油価格は前日比4・45%高の1バレル69・2ドルをつけ、米国石油も4・28%高の1バレル63・8ドルをつけた。
2018年のデータによると、イラクとイランは世界の原油生産量ランキング5位と6位を占めており、その両国が関わる事変は原油の国際価格に大きな影響を与える。
ブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領は3日朝、記者団から「政府として燃料価格上昇を食い止めるための方策はあるか」と問われ、「国内燃料価格にも確実に影響するだろう。どこまで我々が耐えられるか見極めなくてはならない。燃料価格上昇は厄介な問題だ。ただ、政府として価格統制は行わない。記者諸君には必ずこれを書いてもらいたい」と語った。
石油公社ペトロブラス社(PB)は、原油国際相場の変動に合わせて、ブラジル国内の燃料価格を随時変更している。
中東事変発生で国際原油価格が上がり、ブラジル国内の燃料価格も上がると、インフレ情勢にも影響するし、トラック輸送業者が反対のストを起こす可能性が高まる。
しかし、政府がPBに国内燃料価格の据え置きを強制すると、「統制経済」との批判が市場から出て、PB株下落やブラジル経済への国際的な信用度が落ちるというジレンマもある。
記者団は、「価格統制を行わずに燃料価格上昇の影響を緩和させる方策はあるのか?」と食い下がったが、大統領は「これから詳しい者と相談する」と語るにとどめた。同大統領は、3日朝、パウロ・ゲデス経済相とロベルト・カステロ・ブランコPB総裁に電話をしたが、どちらも出なかったと語った。
また、ボルソナロ大統領は、大統領府安全保障室(GSI)のアウグスト・エレーノ長官と会合を持ち、中東情勢のレクチャーを受ける意向も明らかにした。
国際政治が専門のブラジル人女性ジャーナリスト、サンドラ・コーエン氏は、3日付のブラジルのニュースサイトで、イラン国内で絶大な人気と実力を誇っていたソレイマニ司令官の殺害は、米国からイランへの宣戦布告に他ならず、イランからの反撃は避けられないとしている。