ブラジル経済省が2日に発表したところによると、2019年の貿易収支は467億ドルの黒字で、前年比で約20%減額と2、3日付現地紙、サイトが報じた。
19年の貿易収支黒字額は、景気後退期だった2015年の195億ドルこそ上回ったものの、同年以降では最悪の結果となった。19年の輸出総額は2240億ドルで前年比7・5%減、輸入総額も1773億ドルで、前年比3・3%減を記録した。
連邦政府は黒字額よりも貿易量(輸出+輸入)に関心があるというが、額で見る限り、輸出、輸入の双方が減額となっている。経済省担当者は、米中の貿易戦争の影響で世界的に経済や貿易の伸びが緩やかである事と、中国が豚熱(CSF、最近までは豚コレラと呼んでいた)流行で大豆の輸入を差し控えた事などを挙げて、貿易収支の黒字減額を説明している。
輸出額が最も減ったのは車や車用の部品などの工業化製品で、1日あたりの取扱額は11・1%減額した。特に、主な輸出相手国のアルゼンチンが、2年連続の景気後退で工業化製品を買い控えた事が響いた。同国への輸出額は前年比で35・6%減となっている。
他方、専門家の中には「ブラジル工業界の国際競争力のなさが輸出減を招いた」と見る向きもある。この事は、19年の輸出総額の52・7%がコモディティなどの第一次産品であった事からも窺える。工業化製品の割合は34・6%で、過去40年間で最低だった。
一方、世界的な経済減速の影響で輸入総額自体は減ったものの、機械などの資本財の輸入量が増えており、ブラジル経済が回復に向かっている事が窺われるとの声がある。
それを反映する事象の一つは、国内の新車販売(乗用車、軽量商用車、トラック、バスの総数)が前年比8・65%増の278万台に達し、2014年以降で最良だった事だ。乗用車と軽量商用車の販売は7・65%増だが、トラックは33・12%、バスも38・94%と大幅に増えた。
全国自動車販売業者連盟によると、新車販売増は、経済基本金利引き下げや債務不履行率と失業率の低下で、消費者や企業家の信頼感が高まった事が原因だという。
ただ、輸出が伸び悩んだ事で、生産台数は期待された程伸びなかった。
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