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《ブラジル》職権乱用防止法3日から施行=司法や検察からは反発も

セルジオ・モロ法相(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 【既報関連】昨年8月に議会承認された後も、ボルソナロ大統領による部分的項目の拒否、その後の議会による「拒否の拒否」など、議会と大統領府で大きく意見が割れた職権乱用防止法が、3日から施行されたと、3日付現地紙・サイトが報じた。
 2年間に及ぶ議会での討議の末、昨年9月に交付宣言された法律は、1965年に制定された既存の法律を改定したものだ。既存の法律では行政府だけを対象に職権乱用を定義していたが、新法では、立法や司法、警察や検察など、全ての公権力の職員が対象となる。
 3日付現地紙は、「セルジオ・モロ連邦地裁判事(当時)は2016年3月に、汚職容疑で調査対象となっていたルーラ前大統領の通信録音を公開したが、本日から施行される新法では、こうした録画音声の公開や盗聴も罪となり得る」と紹介している。
 議会承認直後は、53の行為が職権乱用罪として定義されたが、ボルソナロ大統領はその中の23項目を拒否(職権乱用にはならない)とした。
 しかし、大統領が拒否した23項目中15項目を議会が復活させたことで、合計45件の職権乱用罪が定義され、罰則として、罰金や被害者への補償、最大4年の禁固刑になることも定められた。再犯の場合には罪も重くなり、公職を解かれたり、最長5年間の公務復帰禁止となったりする可能性も出てきた。
 ロドリゴ・マイア下院議長は、「この法律は、裁判官が捜査開始を決定することや検察が誰かを起訴することを邪魔する性質のものではない」としているが、裁判官や検察官の団体(複数)はこれまでも、「多くの犯罪者が無罪放免となりかねない」と批判している。