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■訃報■日系社会歌謡界を長年けん引=INB名誉会長・北川朗久さん

昨年8月の『花の歌謡祭』で熱唱した北川朗久さん

 ブラジル日本アマチュア歌謡連盟(Instituto NAK do Brasil=INB)の名誉会長を務めていた北川朗久さん(本名=北川彰久)が3日夜、肝臓がんのためサンパウロ市のサンクタ・マジョーレ病院で死去した。享年82。大阪府出身。
 葬式は4日、サンパウロ市のサントアマロ墓地で執り行われ、埋葬された。初七日法要は11日正午から、サンパウロ市の浄土真宗本派本願寺南米教区(西本願寺/R. Changuá, 108 – Chácara Inglesa)で、四十九日法要は2月22日午前11時から同寺で行われる。
 朗久さんは大阪音楽大卒。父親がブラジル駐在中に、第2次世界大戦の影響で帰国できなくなり、それを訪ねて62年に渡伯。病気の父親を助けるためにブラジルに残った。
 司会業などを勤め、88年にエスペランサ婦人会の歌謡教室の指導講師に招かれ就任。93年からは日伯音楽協会の会長も務めた。96年には日本アマチュア歌謡連盟(NAK)のブラジル支部となるINBを設立。初代会長を務めた。
 INB主催でカラオケ大会を開き、優勝者を日本に派遣するなど日伯文化交流にも尽力。日系福祉施設の寄付を募る支援歌謡祭も行ってきた。
 現在日本でブラジル人演歌歌手として活躍するエドアルドは教え子。歌唱の指導をはじめ、日本語や日本の礼儀作法を教えて、日本でも通用するように厳しく育て上げた。
 12年にはサンパウロ市から名誉市民章を受章した。
 昨年8月に開催された『花の歌謡祭』では、大勢の観客を前に5曲を朗々と歌い上げた。12月の『ブラジル紅白歌合戦』では、病気療養中のため出席はできなかったが企画構成に携わった。
 朗久さんの妻でINB会長の北川ジューリア好美さんは、「朗久さんはよく『人のために尽くさなければならない』と話し、朗久さんを慕う多くの方から感謝の言葉を頂いた。私も朗久さんを尊敬し、感謝している」と本紙取材に応えた。
 『ブラジル紅白歌合戦』や『花の歌謡祭』など多数イベントをINBと共催してきた朗久さんの「盟友」、藤瀬圭子プロダクションの藤瀬代表は「歌を通して日伯の交流に尽力し、福祉施設への支援も行ってきた立派な方だった。朗久さんのためにも、今後も歌謡祭を継続し、日本の歌を広めていきたい」とした。


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 3日夜に死去した北川朗久さん。記者も取材した昨年8月の『花の歌謡祭』が、観客を前に歌唱披露した最後の機会だった。同歌謡祭の後に開かれた関係者によるパーティーでは、多くの出演歌手が列をなして「北川先生、ありがとうございます」と笑顔で握手する姿が印象的だった。北川さんの教え子の何人かに話を聞くと、「厳しい先生だった」という声も多かったが、感謝のため北川さんに駆け寄る教え子らを見る限り、その厳しさには深い愛情が込められていたようだ。