【既報関連】元日産自動車最高経営責任者(CEO)で、一昨年、金融商品取引法違反容疑で逮捕され、その後、保釈中に日本からレバノンに逃亡したカルロス・ゴーン被告が8日、レバノンの首都ベイルートで記者会見を行い、無罪を主張すると共に日本の司法制度を強く批判した。9日付ブラジル各紙・サイトが報じている。
昨年末の逃亡劇後、同被告が公の場に姿を現したのは初めてで、会見場には世界各国から多くの報道陣が詰め掛けた。
2時間以上にわたる会見の中で、ゴーン被告は、自分が陰謀の被害者で不当に貶められたことや、全ての容疑に関して潔白であることを訴え、日本の司法当局からいかに非人道的な扱いを受けたかを主張した。
憶測も含め、さまざまな報道が行われている日本からの脱出経緯やルートに関しては、「協力者の安全に関わる」として説明を拒んだ。
ゴーン被告は「逃亡は人生における最も困難な選択だった。レバノンを逃亡先に選んだのは地理的条件から」とし、「ブラジルに逃げようと思わなかったのか」との質問には、「ブラジルに行くにはどこかを経由しなくてはならない。話せるのはここまで」と述べた。
ブラジル生まれで、ブラジルのパスポートも所有しているゴーン被告は、「困難なときに力になってくれた」と、日本で拘束されていたときの在日ブラジル人外交官の助力に感謝の弁を述べた。しかしながら、「ブラジル政府からはもう少し助力が得られるかと期待していたが、裏切られた」とも語った。
ゴーン被告の家族からは、ボルソナロ大統領が安倍総理大臣から、同件でゴーン被告に協力しないように頼まれたのではとの批判も出ている(両者は昨年3回会談)。
同被告の姉クロディーヌ・ビチャラ氏は、「弟を助けたレバノンと違って、ブラジルは事件に関して傍観を決め込んだ」と語っている。
今後の活動について問われたゴーン被告は、「(ビジネスマンとしての)カムバックについて語るのは早い。今は家族と時間をすごし、精神的にも肉体的にも力を回復させる」とした上で、「だからといって、復帰計画が何もないわけではない」とした。
ビチャラ氏も、「弟は直ぐに、名誉回復と日本の司法制度への攻撃のために再起するでしょう」と語っている。
ブラジルメディアは、会見には世界中のメディアが出席したが、日本メディアの多くは日本検察寄りで、ゴーン被告にとって批判的との理由で締め出されたこともあわせて伝えた。
また、9日付G1サイトは、レバノン当局がゴーン被告に出国禁止を命じたことも報じた。