ブラジル沖縄県人会(上原ミルトン定雄会長)の首里城再建義援金が7日現在で、10万レアルを超えた。取材中、「ウチナーンチュの絆はすごい」と協力者自身が驚いたように声をあげるのを聞いた。義援金集めのイベントでは若者の存在感が目立った。「将来の沖縄コミュニティはどうなっていくのか」――首里城再建募金運動の機会に、若者たちの声を集めた。(宮城ユカリ記者)
沖縄県のシンボルである首里城が全焼したことを受けて、ブラジル沖縄県人会は昨年12月8日に義援金集めのイベントを開催し、さらに銀行口座を開設し2月10日まで再建義援金を募集している。その義援金の額が7日時点で10万レアルを超えた。
義援金集めのイベントは大成功。同県人会各支部や参加した各団体は忘年会や他のイベントの予定が既に入っていたにもかかわらず、全員が義援金集めのイベントを最優先し、駆けつけた。中でも特に注目したいのが若者の力だ。
イベントは同県人会青年部、うりずん会など100人を越える若者が中心になって企画・運営を進めた。「こうした若者がいないと動けないと言っても過言ではない」と同県人会の岩谷賢司事務局長は語る。
一世が伝えてきた文化の継承が途絶えるのではと懸念される中、今回のイベントに関わった若者はどう考えているか―。その声を取材した。
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再建募金イベントで「うりずん会」会長の照屋ルジア美雪さん(31、三世、サンパウロ市在住)は、主に運営や広報を担当した。コレジオ・エザッタスとコレジオ・ミヤギの生徒らによる絵の展示会の運営、グッズのデザインや企画構成、販売も担当した。
沖縄県費留研修生OBによるうりずん会は、沖縄文化の交流経験を活かし、同県人会の活動に積極的に参加している。『ウチナーンチュの日』といった大きなイベントの運営も担当した。
照屋さんは「準備期間が少なかったにもかかわらず、イベントは大成功。沖縄コミュニティの団結力を見せつけることができたと感じた」と当日を振り返った。
照屋さんは沖縄県研修時、首里城の年間パスポートを購入し、何回も訪れたことのあるほどの大好きな建物だったという。きっかけは「おばあ(祖母)の家に、守礼門の前に立つ二人の女性の写真が飾られていたこと」。それを見て憧れを抱いたと言う。
「首里城焼失は悲しい出来事だったが、だからこそ今、世界中のウチナーンチュが協力しあっている。絆の強さを歴史に残せるのではないかと思う。私たち、うりずん会は日々、沖縄文化を発信し、そのつながりが途絶えないように努力を続けている」(つづく)。
【首里城再建寄付金】2月10日まで受付中。振込先は以下の通り。《Associação Okinawa Kenjin do Brasil, CNPJ 62.270.434/0001-69, Banco do Brasil, Agência 1196-7 – C/C – 46.457-0》。問合わせは沖縄県人会(11・3106・8823)まで。