自動車の第3者損害賠償責任義務保険「DPVAT(デプヴァチ)」の担当企業はかねてから汚職疑惑がささやかれていたが、その汚職にボルソナロ大統領が昨年11月まで所属していた社会自由党(PSL)の幹部数人が絡んでいた疑いが浮上してきている。15日付現地紙が報じている。
これは監査企業のKPMGが、デプヴァチ担当企業「リーデル」の関係者のワッツアップやメールなどを調査した結果、明らかになったものだ。
それによるとリーデルは、2012年から16年にかけて9400万レアルを横流したと見られているが、その内の7200万レアルは保険供給会社「サウーデ・セグ」に横流しされた疑いが持たれている。
サウーデ・セグはPSLと深いつながりがあると見られている会社の一つだ。同社は同じ住所に「NOXエントレテニメント」「アウトン・コンストゥルソンエス」の二つの別会社を所有している。サウーデ・セグの株主にはPSL役員が5人含まれており、同社と先の2社の株主にはPSL幹部が絡んでいる。そのうちの2人は同党党首ルシアノ・ビヴァール下議の息子、クリスチアーノ氏とルシアノ・フィーリョ氏だ。
さらにもう1社、「エセルシオール・デ・セグーロ」はリーデルがコンソルシオをつとめる企業で、その会社の株主にはビヴァール党首本人とルシアノ・フィーリョ氏の名前が出てくる。
さらにリーデルは、2009年から16年にかけて、ルエダ&ルエダ法律事務所に3千万レアルの支払を行っているが、同事務所の経営者はPSL副党首のアントニオ・ルエダ氏と、その姉妹で同党法務局長のマリア・エミリア氏だ。
この事務所への支払は、09年と10年が36万、23万レアルだったが、14年には151万レアルに跳ね上がった上、15年1004万レアル、16年に1341万レアルと急増した。
KPMGはリーデルの横流し疑惑に絡んだとされる党役員として、党首のビヴァール氏と息子2人、会計のリカルド・ロボ氏と役員のロドリゴ・フルタド氏の名前をリストアップしている。この5人は2014年の全国統一選の際に33万レアル、16年の全国市長選の際に7万5千レアルの献金を受けている。
KPMGによると、デプヴァチに関する議会調査委員会(CPI)に関するメッセージからは、PSLとブラジル社会党(PSB)の政治家の関与も疑われている。PSBの政治家の1人は、現在は民主運動(MDB)所属で上院政府リーダーのフェルナンド・ベゼーラ上議と見られている。ベゼーラ氏は携帯電話のメッセージで、ルエダ・アントニオ氏と会話を行っていたという。
ボルソナロ大統領は汚職を理由に、昨年11月にデプヴァチ廃止を求めている。