ブラジル地理統計院(IBGE)が15日、昨年11月の小売業の総売上高は10月比0・6%増だったと発表した。16日付現地各紙が報じた。
また、昨年11月の売上を一昨年11月と比較すると2・9%増だった。11月は大型セールのブラックフライデーが行われるため、例年の売上は10月より大幅に伸びていた。ブルームバーグ社が発表前に行った市場調査では、10月比で1・1%増、前年11月比で3・9%増の予想だったが、結果はそれを下回った。
これを受けて、15日の相場は、ブラジル株が1%ダウンして11万6千ポイントとなった。為替も対レアルでドルが1・2%高騰し、4・181レアルをつけた。
投資顧問会社XPインベスチメント社によると、昨年第4四半期の経済回復ペースに関して、市場では落胆が広がっているという。
直前の14日には、IBGEが昨年11月の月次サービス調査(PMS)と月次工業生産調査(PIM)の結果を発表しており、サービスは前月比0・1%減、工業も1・2%減との結果に、第4四半期や年間の成長率は予想を下回るとの見方も出始めていた。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)のマウロ・ロクリン教授は、「『新たな成長サイクルに入った。投資も戻り、皆ハッピー』などとは言えない。市場はまだ、昨年のGDPが1・2%アップするとの見方を捨てていないが、肝心なのは、(10月までの貯金のおかげで年間トータルで成長することではなく)着実な成長傾向が出てくること。11月の結果ではそうならない。現状は、上がり下がりの繰り返しだ」と語る。
工業、サービスはダウン、小売の伸びは予想の半分に終わった11月の結果を受け、「19年のGDP成長率予測(プラス1%)を見直さなくてはならないのでは?」との懸念も広がった。
エコノミストたちがこの時点で発表を待つべきとした、ブラジル中銀による11月の経済活動指数(IBC―BR)は、16日朝、発表された。
ブラジル中銀によると、11月のIBC―BRは前月比で0・16%アップし、19年1~11月の累積は0・95%アップ、18年12月から19年11月までの直近12カ月間の累積では0・9%アップだった。
IBC―BRは工業、農業、商・サービス業、税収から算出され、「GDP(国内総生産)の先読み指数」と言われる。GDPはそれら4項目以外にも投資、家庭消費、政府支出、輸出入を考慮の上で算出されるので、若干のずれが生じる。
19年11月のGDPは今月末もしくは2月初旬、19年12月のGDPと19年第4四半期GDP、19年全体のGDPは2月末もしくは3月初旬に発表される。