伊集さんに沖縄コミュニティの将来について聞くと、「今後も若者が先祖の残してきた文化の重要性に気付いていくことを期待する。そしてそれを守り続けること、非日系にも伝えることで途切れないようにしてほしい」と語った。
伊集さんは首里城義援金集めのイベントにも参加。「多くの方が手を組んでみんなで協力して作り上げた。あの感情は言葉に表せないもの」と沖縄コミュニティの絆を再確認できたことを思い返した。
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同県人会ビラ・カロン支部会館の事務員を勤める仲本タチアネ歩(あゆみ)さん(23、三世)は沖縄コミュニティを支える若き人材の一人だ。
首里城義援金集めのイベントは最初から最後まで観たという。「すごく楽しかった。元々三線や踊りを観るのは好きだったし、第二部の歌舞劇は言葉がなくても感じるものがあった」と感心した様子。「イベント当日の食事の売上も全て寄付されるので、それらが首里城のためになるのは嬉しい」と自分たちが首里城再建の為に貢献していると感じたそう。
仲本さんは琉球國祭り太鼓ブラジル支部の活動にも参加している。仲本さんはサンパウロ市生まれで長野県育ち、9年前に帰伯した。そのため、日本語もポルトガル語も流暢に操る。
「ブラジルに戻り祭り太鼓を始めたが、仲間意識が強く温かいグループに入ることで、日本に住んでいたときよりも輪が広がった。自分は人見知りだが、いろんな人と話ができるようになったことが凄くよかった」と祭り太鼓を始めてからの変化を語った。
最後に仲本さんに今後の沖縄コミュニティに期待することを聞くと、「今後も助け合いの精神、温かい雰囲気を若者が継承していき、仲良く活動していけたらと願っている」と語った。
仲本さんは今後も事務員として働いていくつもり。「いつか研修で沖縄に行きたい」との夢を語った。
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首里城再建支援イベントに参加した若者の中には、非沖縄系や非日系もいた。彼らはどうして沖縄に興味を持つようになったのか。沖縄の歴史や文化を学術的に学ぶ彼らを取材した。
佐藤有里(ゆり)ルシアーネさん(42、二世)に当日イベントを観に行った感想を尋ねると、「とても綺麗だった。琉球舞踊がこんなに素敵だとは知らなかった。先生と若者が一緒になっていて、とても良く企画されていて美しかった。すごく感動した。日本には何回か訪日しているが沖縄の首里城は行ったことがなかったので残念」と語った。(つづく、宮城ユカリ記者)
【首里城再建寄付金】2月10日まで受付中。振込先は以下の通り。《Associação Okinawa Kenjin do Brasil, CNPJ 62.270.434/0001-69, Banco do Brasil, Agência 1196-7 – C/C – 46.457-0》。問合わせは沖縄県人会(11・3106・8823)まで。