ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》文化局長の動画で大波紋=ナチスのゲッベルスを模倣=師匠オラーヴォもかばえず=流石の大統領も即座に解任

《ブラジル》文化局長の動画で大波紋=ナチスのゲッベルスを模倣=師匠オラーヴォもかばえず=流石の大統領も即座に解任

アルヴィム氏(Agencia Brasil)

 16日、ロベルト・アルヴィム連邦政府文化局長が、投稿したビデオの中で、ナチス・ドイツの宣伝相、ヨーゼフ・ゲッベルス氏が行った悪名高き発言を真似て主張。ブラジル中で大問題となり、17日午前に解任された。17日付現地サイトが報じている。

 問題となったのは、アルヴィム氏が16日19時46分に投稿した6分38秒の動画だ。アルヴィム氏はナチスの音楽の象徴でもあったワーグナーのオペラ「ローエングリン」の中の曲を背景に流しながら、「ブラジルの次の10年間の芸術は、英雄的かつ国民的で、国民の感情を強く喚起するものであると共に命令的なものとなる。これは、我が国民の緊急の願望と深く結びついているためで、さもなくば、何もない」と語った。
 この言葉は、ゲッベルス氏の伝記の中に引用されている同氏の言葉と酷似しており、すぐにネット上で話題となった。その伝記には、「ドイツの次の10年間の芸術は英雄的かつ鋼のようなロマンによるもので、客観的で、感傷的なものから完全的に解き放たれたものとなる。それは悲哀を伴う国民的なものであると共に、命令的で拘束力のあるものとなるだろう。さもなくば、何もない」という、ゲッベルス氏の言葉が書かれている。
 アルヴィム氏の発言は、ゲッベルス氏の発言との類似性を指摘する報道がいくつかあがるやいなや、大きく拡散した。ゲッベルス氏は広告戦略でナチスの思想を啓蒙した人物として知られており、反ユダヤ主義や全体主義を推し進めた人物として、ヒトラーと並ぶ、人類の負の遺産とされているためだ。
 この発言はネット上で強い反感を買っただけではなく、政界にも強い波紋を投げかけた。ロドリゴ・マイア下院議長が17日朝、アルヴィム氏の即刻解任を求めると、18年大統領選候補だったシロ・ゴメス氏や、マラニョン州知事のフラヴィオ・ジノ氏、ブラジル弁護士会(OAB)のフェリペ・サンタ・クルス会長らもそれに続いた。さらにユダヤ人協会も強く抗議し、辞任を求めた。
 アルヴィム氏は「ゲッベルス氏の発言との類似は偶然」としてマスコミを責めた。だが、同氏の師匠でボルソナロ政権に強い影響力を与える極右思想家のオラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏さえ、「頭の中の状態が良くなかったのだろう」と批判する発言を行った。
 これを受け、午前11時過ぎ、ボルソナロ大統領はアルヴィム氏の解任を発表した。
 自称・脚本家のアルヴィム氏は、昨年7月にボルソナロ大統領が全国芸術財団(FUNARTE)会長に抜擢。9月には文化局長に指名され、話題となっていた。