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《ブラジル陸運庁》トラック輸送の最低料金引き上げ=前回調整から10%以上も増額=2月には料金表の違憲審理

トラックストの再発をブラジル政府は何より恐れている(参考画像・Rodrigues Pozzebom/Ag. Brasil)

 ブラジル国家陸運庁(ANTT)は16日、ブラジル国内のトラック輸送の最低料金表を、積荷の種類や輸送形式によって11~15%増額調整したと、17日付現地紙が報じた。
 新しい料金表は週明け20日から有効となる。 ANTTはまた、トラック輸送の帰路、積荷が空の状態で戻ってくる場合も料金を払うこと、運転手の食費、宿泊費も荷主が負担することを義務化した。
 2018年5~6月には、燃料価格の高騰と荷主による強引な値引きに反発し、トラック運転手たちがブラジル全土でストを行い、国中の物流が大混乱を起こした。


 この事件の余波を受け、当時のテメル政権はトラック輸送の最低料金表を制定した。以来、料金表はこれまでに6回調整されたが、減額となったのは1回だけだ。16日に調整する前の最後の調整は19年4月で、その時の増額率は平均4・13%だった。
 最後の調整から今まで、つまり、昨年4月から12月までのインフレ率は2・69%だから、今回の増額率(平均11~15%)は、それを大きく上回っている。しかし、トラック運転手たちは満足しておらず、ディーゼル油価格を下げることも要求している。
 トラック運転手たちや輸送業界は、一昨年の大統領選でボルソナロ大統領を支持した勢力だ。ボルソナロ政権は、彼らの支持を失うことや再びストを決行されることを恐れ、昨年4月に、「20億レアル規模の道路整備計画」や、5億レアル規模のトラック運転手向け融資などを決めた経緯がある。しかし、その時も、ディーゼル油価格への政府介入は行われなかった。
 全国運輸連合(CNT)は、「荷主が納得して払うことが出来る料金表を政府は作るべき」と批判した。
 また、料金表の法的整合性自体に意義を唱える最高裁判事もおり、最高裁は2月に料金表が憲法に触れていないかを問う審理を行う予定だ。
 総弁護庁(AGU)は以前、政府はまだ、最低運賃の設定以外の方法で問題を解決できないか、トラック業界と共にその道を探っているとして、最高裁審理の延期を要求していた。
 最高裁における同件の報告官、ルイス・フクス判事は、AGUの要求をを受け入れ、審理の削除を要請していた。
 また、トラック運転手とは逆に、製品輸送をトラック業界に依頼する立場の企業家たちは、「最低料金表設定は、自由経済や自由企業、消費者保護の原則に違反する」と主張している。