ブラジル南部のパラナ州アラウカリア市で17日、14日に冬眠(実質的な閉鎖)が宣言された肥料会社アラウカリア・ニトロジェナドス(ANSA)の元従業員らが、工場閉鎖と解雇に反対する抗議行動を行った。
ANSAは石油公社のペトロブラス傘下の肥料会社で、ペトロブラスが14日に「ANSAは冬眠する」と発表。これに伴い、従業員396人が解雇される事になった。
ANSAの冬眠は、2年間かけた株式売却が思うように進まなかった事を受けて決まった。
ペトロブラスによると、NASAは2013年に買収した時から赤字経営で、2019年1~9月の赤字額は約2億5千万レアル、2020年の赤字額は4億レアルを超える見込みだという。
これは、NASAが原材料としているアスファルト廃棄物は、最終製品のアンモニアと尿素より高価で、生産すればするほど、赤字がかさむ体質だからだ。
ペトロブラスは、NASAを冬眠させる事で、肥料事業からは完全に手を引く所存だ。これは、同社の戦略的な選択で、肥料だけではなく、天然ガスや液化天然ガス、バイオディーゼルの各事業からも撤退する意向だ。
ペトロブラスは2018年初頭にも、セルジッペ州の肥料会社Fafen―SEとバイア州の肥料会社Fefen―BAを冬眠させる事を決めている。
冬眠は文字通り、機材も施設も眠った(停止)状態に置く事で、操業面と環境面の双方の安全を確保する方法として選ばれたという。
ペトロブラスは、従業員達には法的に決められた退職金の他、給与額や労働時間に応じて、5~20万レアルの追加報酬も支払う事や、通常の医療と歯の治療を受けるための保健プランや、薬局での恩典、教育支援も最大24カ月間継続する事と、別の職業に就くための支援を行う専門職員を1人置く事も約束した。
しかし、従業員達は実質的な工場閉鎖と解雇に納得できず、17日に抗議行動を行った。(14、17日付G1サイトより)