昨年度の国家高等教育試験(ENEM)に関する採点ミスが、連日で判明。国内の多くの大学受験者への影響が避けられないものとなり、教育省の責任が強く問われている。19、20日付現地紙が報じている。
17日、教育省は、昨年11月3日と10日に行われたENEMの個人結果を発表した。だが、その時点から、ネットを中心に「不審な点がある」との声が出回った。
まず18日、アブラアン・ウェイントラウビ教育相はビデオを通じ、2日目に行われた、数学と人文科学のテストに関して採点ミスがあったと発表した。ただ、その際、「受験者に対する影響は少ない」と発表した。
同日、国立教育研究院(INEP)のアレッシャンドレ・ロペス会長は、2日目の採点に関して四つの場合で採点ミスがあったとし、少なくともミナス・ジェライス州ヴィソーザで受験した3万9千人全ての受験者に影響したという。ENEMの受験生は約400万人なので、すでに1%近くの人が影響を受けたことになる。
さらに同会長は、その他の州でも同様なミスが起きた可能性があるとも語った。このミスは、各受験者の解答用紙の色を識別する際に起きた誤りだという。
その背景には、昨年の3月に、2009年からENEMの試験(問題と解答用紙)の印刷を担当していた印刷会社が倒産した際、連邦政府は新たな入札を行わずに、倒産した会社を採用した際の入札で2位の企業に問題などの印刷を依頼した。だが、その会社はENEMのような大規模かつ繊細な配慮の必要な仕事を担当したことがなかったという。
さらに19日、INEPは、採点ミスは2日目の試験のみならず、初日に行われた言語や自然科学、作文でも発生していたことを公表した。
連邦政府は、採点ミスについての苦情をenem2019@inep.gov.brで受け付けることをすでに発表している。
ENEMでは過去にも、試験の行われる前に出題内容が漏洩したり、受験の時間に起きた過失で試験が受けられなかったりするなどのトラブルはあったが、ここまで大規模な採点ミスははじめてだ。
なお、今回の過失がありながらも、連邦政府は統一選抜システム(SISU)の日程を変える予定はないとの意向を表明している。今年の申込期間は21~24日で、対象は128の公立高等教育機関、定員は23万7千人分となっている。