サンパウロ総合大学環境エネルギー研究所とポルトガルのポルト大学で教鞭をとるペドロ・コルテス氏によると、法定アマゾンでの森林伐採増加が、ブラジル中西部を潤し、南東部や南部の水系に水をもたらす雨の量にも影響を与えていると19日付G1サイトが報じた。
国立宇宙研究所(Inpe)は14日、昨年1年間の法定アマゾンの森林伐採は9165・6平方キロで、18年の4946・37平方キロ比85・3%増と発表した。この数字は伐採をリアルタイムで把握するDeterによるもので、公式データではない。
だが、昨年11月に発表された18年8月~19年7月の公式データも、前年同期比で29・5%増の9762平方キロだったから、増加傾向は拍車がかかっている。
熱帯雨林のアマゾンでは、地中深く張った根が吸い上げた水が水蒸気となって雲を形成。この雲は気流で運ばれ、アマゾンはもちろん、南部や南東部にも雨を降らす。
この論理で行けば、森林伐採や森林火災で水蒸気が減り、雲の形成が抑えられると、南部や南東部の雨が減るのだ。伐採や焼畑の後にできる牧草地は地表の水分しか吸い上げず、大気中の湿度はかなり落ちる。
サンパウロ大都市圏750万人の水源であるカンタレイラ水系の貯水率は20日現在で45・2%で、15年同日のマイナス23・6%や16年の12・5%、14年の24・4%より、状況はよい。だが、水資源庁の基準では40%未満は警告、40~59・9%は注意だし、10年同日は96・8%、11年同日も96・2%だったことを知る人には、「安心」の言葉は程遠い。
また、アマゾン上空の雲が減り、南東部や中西部の雨が減ると、水力発電量に影響する。16日付G1サイトによると、14日現在の両地域の水力発電所のダムの平均貯水量は21・05%で、15年の18・94%以来の低水準だという。昨年同日の平均は28・52%だった。
水力発電所のダム貯水量が減れば、火力発電が増え、電気料金が高くなる。国家電力庁などは今年も深刻な電力不足は起きないというが、1月の電気料金は昨年12月に続く黄旗(10キロワット/時あたり1・34レアルを追加徴収)だ。昨年1~4月は貯水量にゆとりがあり、追加料金徴収はなかった。