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国際通貨基金=ブラジル経済の成長見通しを上方修正=財政の健全化を注文

 国際通貨基金(IMF)は20日、世界経済見通しを発表。今年のブラジルのGDP成長率見通しを昨年10月の2・0%から2・2%へと0・2%ポイント(P)引き上げた。

 世界経済全体の予想は低調な中でブラジル単独の予想を引き上げた理由として、IMFは、昨年11月成立の社会保障制度改革や、ブラジル国内の鉱山採掘産業部門の供給回復を挙げている。

 IMFの予想は、ブラジル政府(2・4%)やブラジル国内各金融機関(2・31%)の予想をやや下回る。

 また、最新の試算では、2月末か3月初旬に発表される予定の2019年のGDP成長率は、前年比1・2%となる見込みだ。

 また、2021年のGDP成長予測は2・3%で、これは昨年10月の発表よりも0・1%P低い。2022年以降の予測は公表されなかったが、2・5%前後の見込みだ。

 IMF調査部門副部長のジャン・マリア・フェレッティ氏は、「IMFは引き続き、ブラジルは2・5%成長できるくらいの潜在力を持っていると見ている」とした。

 IMFのチーフエコノミスト、ギタ・ゴピナス氏は、「ブラジル政府は引き続き、財政の健全化や累積債務の解消に努めなくてはいけない」と強調している。そのためには公務員の人件費を総体として削る必要があることも、同氏は明言した。

 また、ブラジル政府発表のデータによると、ブラジルの債務(国、州、市の全て)はGDPの約78%となっているが、IMFのデータでは既に80%を超えている。

 ブラジル経済はやや回復基調だが、その成長率予測は、20年も21年も世界平均(予測値)を下回る。

 IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、「世界経済は『同時減速』から、『弱含み回復による安定化』に変化した」と語った。工業と商業は底をうって反転し始めたし、米中間の貿易戦争が「第一段階の合意」に達し、調印したことも好材料だ。

 ただし、不安材料としては、米国と欧州の貿易摩擦、中東危機の深刻化、米中貿易戦争の再激化などがある。(21日付エスタード紙より)